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自然資本会計とは・意味

自然資本会計とは?

自然資本会計とは、自然資本の価値を適切に評価し、管理するためのツールのこと。国民の生活を安定させ、企業経営の持続可能性を高めることにつながると考えられている。

自然資本は、森林や土壌、水や大気、および生物資源など、自然によってつくられる資本のことで、自然資本から生み出されるフローを生態系サービスとして捉えることができる。

自然資本に関する日本および世界の動向

日本では自然資本会計が広く認識される前に、企業の環境情報開示方法として環境会計への取り組みが進められた。環境会計とは、企業などが持続可能な発展を目指し、環境保全への取り組みを推進していくことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストと効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位または物量単位)に測定して伝達する仕組みのことである。

環境省は2000年に、環境会計への取り組みを支援することを目的として、「環境会計システムの導入のためのガイドライン」を公表した。2003年に同省が2,795社に調査したところ、環境会計を既に導入していると回答した事業者は661社にのぼった。2005年に同省は環境会計ガイドラインを改訂したが、その後は以下のように自然資本会計が国際的に認識されるようになっていく。

世界的な動きとしては、2010年に名古屋市で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)で採択された愛知目標に、生物多様性の価値を国家勘定に組み込むことが掲げられた。さらに、2012年にブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な会議(リオ+20)」で、世界銀行は自然資本の価値を国家会計と企業会計に入れることを提案した。また、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)は、金融機関が自然資本の考え方を金融商品やサービスの中に取り入れていくことを約束する「自然資本宣言」を提唱し、2020年11月24日現在、60の金融機関が署名、日本からは三井住友信託銀行をはじめ計3社が署名している。

自然資本会計の例

スポーツウェアメーカーの独PUMAは2011年、自然資本に及ぼす影響のコストを金額で計算した「環境損益計算書」を公表して注目を集めたほか、IDEAS FOR GOODでは、これまで自然資本を取り入れた試みを取り上げてきた。

例えば、スウェーデンの大手食品ブランドFelix(フェリックス)がつくった、価格をカーボンフットプリントに基づいて計算するスーパーマーケットの仕組みや、スウェーデンのメンズウェアブランド「Asket」が考案した、衣服の値段ではなく、環境負荷を書き込むレシート。また、宿泊客が滞在中に排出したCO2量に基づいて宿泊費を計算できるフィンランドのホテルなどだ。

こうした試みは、消費者に責任ある消費について考える機会を提供している。上記の事例以外にも、多くの企業が自然資本を大切にするべく、環境負荷を軽減するためのさまざまな取り組みを行っており、使用エネルギーや水使用量の削減、製造工程の効率化や資源の有効活用などがその例として挙げられる。

自然資本会計の今後

2020年7月、英国とスイス、フランスとペルーの政府、および大手銀行や企業などが、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)と並ぶTNFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)を2021年に発足させることを目指し、会合を開いた。TNFDは資金の流れを自然保全に積極的な活動に向けることで、自然と人類を繁栄させ、世界経済に回復力をもたらすことを目標とするものだ。世界自然保護基金(WWF)や国連開発計画(UNDP)、UNEP FIやTCFD事務局などが支援している。

企業による事業活動は自然資本を多く利用していることから、企業による情報開示のガイドラインを求める動きや、国家や企業の会計や経営に自然資本を盛り込む取り組みが活発化している。今、私たち消費者と企業、そして国家に自然に責任ある消費が求められている。

【参照サイト】第4節 グリーン経済を支える自然資本
【参照サイト】環境会計
【参照サイト】日本経済新聞
【参照サイト】TNFD
【参照サイト】TNFD
【参照サイト】Natural Capital Finance Alliance

(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「自然資本会計」を転載しております。)