毎年恒例の蘭Circle Economy による「Circularity Gap Report」の2023年版が発表された。今回は初めてコンサル世界大手の英デロイトと共同作成。世界のサーキュラリティは7.2%と、同社が初めてサーキュラリティを発表した2018年の9.1%から低下した。気候危機がいよいよ切迫度を増しているにもかかわらず、世界経済は過去6年間だけでも20世紀全体とほぼ同量の材料を産出・使用していたという事実を私たちは重く受け止めなければならないはずだ。

しかし、絶望するにはまだ早い。同報告書は、製品のリユース・修理・リサイクルなどの循環型ソリューションを通じて材料使用を30%削減することで、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑え、プラネタリーバウンダリー(地球の限界)内ですべての人が活動できると指摘する。言い換えれば、食料や住宅をはじめとする主な社会的需要は、世界経済が現在消費している材料の70%で満たせるということだ。

では、具体的にどのような業界・テーマで、どの主体がどのような改革を行うべきなのか—。同報告書は、4つの大きな業界・テーマで企業・都市・国家が取り組むべき16の解決策を示している。

人間の基本的ニーズを地球環境の許容範囲でいかに満たすべきか?

まずは前提として、サーキュラーエコノミーを推進する4つのアプローチを確認しておきたい。

世界のサーキュラリティの現状を表した概要図(Circularity Gap Report 2023 20ページより)
①NARROW:使用量をより少なく抑える

原料とエネルギー使用を抑えること。サーキュラーエコノミーにおいて最も重要なアプローチである。

②SLOW:より長く使う

耐久性と修理しやすさを高めることで、資産としての建物や製品の価値を高める。

③REGENERATE:再生する

危険性や毒性の高い原料や加工工程を、バイオマス由来の原料などへの代替を通じた再生的なものにすること。

④CYCLE:再び使う

原料を二次素材として最大限にリサイクル、活用することでバージン材の使用を最小限に抑える。

ストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム博士(当時)らにより開発されたプラネタリーバウンダリーの概念に基づくと、地球環境を構成する9つの状態のうち、気候変動、生物多様性、化学物質による汚染、土地利用、生物化学的フロー(窒素とリンの循環)については、すでに地球環境として再生・回復できる許容範囲を超えてしまっている。

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