環境省と経済産業省は1月19日、「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を公表した。同ガイダンスは政府が策定する世界初のサーキュラーエコノミーに特化した開示・対話ガイダンスだとし、両省は企業と投資家の対話を通じてサーキュラーエコノミーを推進していく。

サーキュラーエコノミーへの移行を促進するにあたって、技術・ビジネスモデルのイノベーションの牽引が望まれる企業と、金融市場において事業の推進力となる資金を供給・循環する投資家・金融機関(以下、投資家など)が果たす役割が重要である。企業には、提供する製品・サービスに一層の循環性を備える取り組みを進め、その取り組みを投資家などに対して統合報告書や年次報告書などで適切に「見える化」すること、投資家などには、対話・エンゲージメントを通じてそれを適切に評価・資金供給することが期待される。同ガイダンスは、企業と投資家などとの間に円滑な対話を促すための手引きだ。サーキュラーエコノミーおよびプラスチック資源循環に取り組む日本企業が、国内外の投資家などから適正な評価を受け、投融資を呼び込めるようにすることを目的とし、事例も交えてポイントを解説している。

同ガイダンスの特徴

  • サーキュラーエコノミーへの移行に向けた多様なアプローチを適切に評価するため、「リスクと機会」「戦略」「指標と目標」「ガバナンス」「価値観」「ビジネスモデル」の6項目で構成
  • サーキュラーエコノミーに係る取り組みを中長期的な新市場創出・獲得や競争力強化につなげ、企業価値の向上を目指す機会重視の内容となっている
  • 開示・対話を特に促進する分野として、プラスチック資源循環分野が取り上げられた。プラスチックの資源循環を適切に行わない場合のリスクと推進する場合の機会の例や、企業価値を高めるための目標と適切な重要指標の例が整理されている

同ガイダンスの目次

第1章 はじめに
  1. 背景~サーキュラー・エコノミーへの移行の必要性と移行に当たっての課題
  2. ガイダンス作成の趣旨
第2章 開示及び対話のポイント
  1. ガイダンスの構成
  2. 価値観
  3. ビジネスモデル
  4. リスクと機会
  5. 戦略
  6. 指標と目標
  7. ガバナンス
  8. 開示・対話のポイント
    <分野別のポイント>
第3章 プラスチック資源循環分野の開示及び対話のポイント
  1. 総論
  2. プラスチック資源循環分野に特有のポイント
    (1)リスクと機会
    (2)指標と目標
第4章 おわりに

ESG開示フレームワークの調和が国際的に進むなか、両省は今後、さまざまな機会を捉えて国内外に向けて情報発信し、同ガイダンスの世界的活用拡大を図るとともに、ガイダンスに基づく企業と投資家などとの建設的な対話への支援を推進していくとしている。

【プレスリリース】「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を取りまとめました
【プレスリリース】「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」の公表について
【参照サイト】サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための 開示・対話ガイダンス(概要)
【参照サイト】サーキュラー・エコノミーに係る サステナブル・ファイナンス促進のための 開示・対話ガイダンス