ベトナム中部の都市ダナンで、ダナン・サーキュラーエコノミーハブ(DCEH)が地方自治体と国連開発計画(UNDP)、および環境と持続可能性に関心を持つ若者の参加と支援を受けて発足した。グリーンで持続可能な都市の構築を目指す。

廃棄物および海洋プラスチックは、いまベトナムが抱える大きな問題となっている。2016年のベトナム都市部の固形廃棄物の量は1,160万トンにのぼり、その量は2050年までに2倍になると予測されている。同国は面積が世界68位、人口は15位でありながら、毎年排出する海洋プラスチックの量は183万トン以上で、現在世界で4番目に多くなっている。

こういった問題をサーキュラーエコノミーで解決するべく、ベトナムのアクセラレータ・ラボ(※)はダナン・ビジネス・インキュベーター(DNES)とともに、同国中部のコミュニティにより大きな影響を与える持続可能なプログラムを開発し、これがDCEHの誕生につながった。DCEHは、ダナンとベトナム中部の固形廃棄物処理システムの改善を目指す革新的プロジェクトで、才能のある人々の支援に焦点を当て、持続可能でグリーンな消費を促進する。DCEHは発足後に早速、「グリーンアベンジャーズ」プログラムを開始した。持続可能性のための革新的プロジェクトに関するコミュニティネットワーク形成を目指し、以下の4段階で実施される。

第1段階:参加者募集

2020年10月中旬から11月上旬まで、参加者を募集。参加は環境プロジェクトをすでに行っているか、環境プロジェクトへの参加に意欲がある人に限られ、ベトナム中部での実績と経験のある人が優先的に選ばれた

第2段階:5日間の研修・プロジェクトチーム結成

2020年11月に5日間、選考プロセスで選出された30人の参加者は研修を受けた。参加者は研修で、サーキュラーエコノミーと廃棄物管理、およびシステム思考について学習し、実務経験とアイデアの提案と開発を行った。また、プロジェクトチームを結成した

第3段階:プロジェクト提案書作成・提出・選考

11月中旬から1カ月間、第2段階で結成されたプロジェクトチームはプロジェクト提案書を作成し、諮問委員会に提出して選考が行われる

第4段階:プロジェクト実施

第3段階で選出されたプロジェクトは2021年半ばまでプロジェクトを実施し、地域に影響を拡大する。参加者は予備資金を提供され、指導やネットワークサポート、および研修も受けられる

ベトナムのUNDPアクセラレータ・ラボのソリューションマッピング責任者であるNguyen Tuan Luong氏は、「ダナン市は中部の経済と文化の中心地であり、同プログラムによってダナンは地域の環境保護を広める中心となるでしょう。DCEHは人々のためのプラットフォームとなり、プロジェクトを結び付け、現状に対処するための環境の革新的ソリューションを作成します。ダナン市の持続可能な開発に協力する人々が中部に刺激を与えていくことで、将来DCEHは強力なネットワークになることを約束します」と語っている。

※)アクセラレータ・ラボは、2019年にUNDPが設立した機関で、世界92カ所に拠点を置く。2030年までにSDGsを達成するための学習を加速し、調査や分析、および実験などを行うことで開発やプロジェクトを支援している。

【プレスリリース】Launching Danang Circular Economy Hub for a green and sustainable city
【参照サイト】UNDP Accelerator labs