公益社団法人2025年日本国際博覧会協会はこのほど、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の準備・運営を通じて持続可能性の実現を目指すべく、「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた方針」を策定した。同方針で重視している脱炭素・資源循環について目指すべき方向性や対策の候補などを示した「EXPO 2025 グリーンビジョン(2021年6月公表)」も改定した。

改定版では、「万博におけるカーボンニュートラルの実現および2050年のカーボンニュートラル社会の提示」のほか、「サーキュラーエコノミーの実現」が掲げられた。サーキュラーエコノミーの実現に向けて、ごみゼロ・食品廃棄ゼロ・ファッションロスゼロを以下の対策候補によって目指すとともに、会場整備ではリユース・リサイクルの促進を対策候補としている。

  • ごみゼロ:ごみ回収×ナッジの仕組みの導入、食品提供に使用したプラスチックのリサイクル、生分解性容器のリサイクルとバイオエタノール製造、マイボトル・マイ容器の推進など
  • 食品廃棄ゼロ:食品の需給予測、食品残さや下水汚泥などの活用(バイオガス製造、堆肥化)など
  • ファッションロスゼロ:ユニフォームのアップサイクル、サステナブルファッションの推進など

同ビジョン実現に向けて、下記の省庁および企業・団体・自治体などに対して、「2025年大阪・関西万博アクションプラン」を策定している内閣官房国際博覧会推進本部事務局との連携と、他主体との協力を呼びかけている。

  • 会場整備:林野庁、国土交通省、環境省、経済産業省
  • ごみゼロ:経済産業省、環境省
  • 食品廃棄ゼロ:消費者庁、環境省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省、文部科学省
  • ファッションロスゼロ:消費者庁、環境省、経済産業省

2021年12月、大阪・関西万博の持続可能な運営の実現を目指し、「持続可能性有識者委員会」が発足した。同委員会のもとに2022年度に設置予定のワーキンググループは、万博全体のCO2排出量算定の精緻化と、上述の対策を具体化・数値化する計画だ。持続可能性有識者委員会は今後、同ビジョンの改定・実現に向けて議論していく。

「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた方針」には、5Pが掲げられた。5Pは、People(いのち、ひと、健康、福祉)、Planet(生態系、環境)、Prosperity(サプライチェーン、バリューチェーン)、Peace(平和、公正、インクルーシブネス)、Patnership(協働)だ。

イベントは人との交流や情報共有によって私たちを魅了し、イノベーションを育む一方で、多くの資源とエネルギーが消費され、大きな環境負荷をもたらすことが近年問題視されている。こうしたなか、さまざまな組織が循環型のイベント開催に向けて取り組みを進めている。多くの来場者が見込まれる大阪・関西万博において、循環型の対策を実行し、日本が世界に向けてカーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー実現への取り組みを示すことが期待される。

【プレスリリース】「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた方針」及び改定版<EXPO 2025 グリーンビジョン>を公表~環境省との連携プロジェクトをスタート~
【参照サイト】持続可能な大阪・関西万博開催にむけた方針
【参照サイト】改定版<EXPO 2025 グリーンビジョン>
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