株式会社ファーメンステーションは3月27日、パンおよび加工食品の製造工程で出るパン耳などの製造残さや余剰などを原材料として、高濃度エタノールを製造・商用化したと発表した。

同技術を活用し、株式会社ファーメンステーションはニッスイグループ傘下の株式会社チルディーとの「未利用資源 再生・循環パートナーシップ」を通じて、サンドイッチなどの製造工程で出るパン耳残さをアップサイクルして製造したエタノールを配合した除菌アルコールを開発した。加えて、同除菌アルコールを株式会社チルディー社内で再活用する取り組みも開始。高濃度エタノール製造工程で発生する発酵粕も、ニワトリの飼料として活用する。両社は同パートナーシップを通じて、サーキュラーエコノミー移行に向けて取り組みを進めていく考えだ。

株式会社チルディーは、コンビニエンスストアやスーパー向けに総菜・サラダ・麺類などを製造している。同社はこれまでも、サンドイッチの製造工程で出るパン耳残さをパン粉として二次加工して販売したり、飼料として活用したりするなど、廃棄削減に向けて取り組んできた。今回、製造残さの活用向上を目指して、株式会社ファーメンステーションと協働し、同開発に至った。

株式会社ファーメンステーションが製造するエタノールは、食料と競合しない未利用資源をアップサイクルし、由来の明確な原材料をもとに100%国内製造することでトレーサビリティを確保している。今後、未使用資源のアップサイクルに取り組む企業との提携を拡大していきたい考えだ。

2009年に創業した株式会社ファーメンステーションは、未利用資源を発酵・蒸留してエタノールおよび発酵原料を製造し、化粧品原料などのバイオマス由来の高付加価値原料市場を開拓している。残った発酵粕は化粧品の原料や鶏・牛の餌に活用し、鶏糞や牛糞は畑や田んぼの肥料にする循環型モデルを構築。休耕田や遊休水田を再生・利用する点や、企業の食関連工場から排出される残さなどの食品廃棄物に付加価値をつける点を特徴とする。主力商品のライスエタノールは、USDA認証、エコサートCOSMOS認証を、同社自体もB Corp認証を取得した。原料生産のほか、OEM・ODM・ノベルティ制作、大手企業との事業共創も手掛け、国内外の課題解決に取り組んでいる。

【プレスリリース】廃棄パン由来のエタノール商用化製造を実現 チルディー(ニッスイグループ)との「未利用資源 再生・循環パートナーシップ」
【関連記事】ファーメンステーション、「リンゴだったサニタイザー」を先行販売。規格外りんごを循環
【関連記事】【サーキュラーエコノミーマーケットマップ】編集部が注目する国内スタートアップ/ベンチャー11社、一挙公開
【関連記事】象印とファーメンステーション、炊飯試験ごはんを活用した除菌ウエットティッシュを商品化
*記事中の画像の出典:株式会社ファーメンステーション