帝人株式会社と富士通株式会社はこのほど、リサイクル材の環境価値化プラットフォームの実現を目指す共同プロジェクトを開始した。

同プロジェクトは、リサイクル材の利活用や環境配慮設計の実現に向けたプラットフォームの構築と市場適用に取り組む。プラットフォーム構築に当たっては、帝人株式会社のライフサイクルアセスメント(LCA)の算定方法や富士通株式会社のブロックチェーン技術を活用する。両社はこれまでの実績について、以下を示した。

  • 帝人株式会社:炭素繊維・アラミド繊維などの製造工程における温室効果ガス排出量の算出方法を確立し、繊維強化プラスチック(FRP)の再生に関する取り組みも推進している
  • 富士通株式会社:高い透明性とトレーサビリティを担保し、情報改ざんが不可能なブロックチェーン技術を活用したシステム構築について多くの実績を有する

両社は、同プロジェクトに取り組む背景を次のように示した。企業には、製品のライフサイクルを通じたLCAの導入・評価結果の開示・環境ラベル取得に向けた積極的な対応・欧州における環境規制の導入による厳格な対応・リサイクル材の来歴情報の信頼性の向上などが求められていること。航空機や電気自動車などの交通輸送分野などで利用が拡大しているFRPをはじめとする材料について、高度な環境配慮設計が今後求められることなどだ。

リサイクル素材の環境価値化プラットフォームのイメージ(出典:帝人株式会社、富士通株式会社)

同プラットフォームの仕組みについて、両社は下記を発表した。

  • バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量を含む環境負荷に関する一次データの収集と追跡において、富士通のブロックチェーン技術を活用し、リサイクル材の環境価値の信頼性を向上させる
  • リサイクル材を用いて製品を設計するメーカーに対して、リサイクル材の出自の証明や、高い信頼性を持つ温室効果ガス排出量を含む環境負荷情報を提供し、メーカーによるリサイクル材の利活用や環境配慮設計を促進する

今後、両社は2022年度内でのFRP領域における事業の具体化を目指して本格的に実証を開始し、その成果をもとに他素材への展開も検討していく予定だ。加えて、同プロジェクトに賛同した提携企業や団体との議論や実証事業なども進めていきたい考えだ。同取り組みが、環境配慮設計と資源循環の推進に寄与していくことが期待される。

【プレスリリース】帝人と富士通、リサイクル素材利活用における信頼性向上に向けた共同プロジェクトを開始
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