H&Mは12月9日、設計段階から循環型ファッションを追求したウィメンズ&メンズウェア・コレクション「Circular Design Story Collection」全80種類の販売を新宿店と公式オンラインストアで開始する。関西では心斎橋店にてウィメンズ・コレクションを展開する。

Circular Design Story Collectionでは、以下をはじめとする素材が採用されている。

  • リサイクルしやすい単一素材
  • 溶解可能な糸
  • 古着や使用済み繊維の廃棄物を利用した素材
  • ワイン製造時に廃棄されるブドウの皮・茎・種などの副産物を原料としたヴィーガンレザー
  • 環境に配慮した方法で調達された木材の繊維
  • 海洋プラスチックごみが原料のリサイクルポリエステル

「サステナビリティと喜び」をテーマとする同コレクションは、衣服から衣服への再利用を目指し、廃棄された衣服や布地を新しい生地に変えてループを閉じ、資源に責任を持つことを目標としている。H&MのサステナビリティにおけるイニシアチブであるInnovation Stories(イノベーション・ストーリーズ※)の第4弾となる同コレクションは、ファッションの力と楽しさをたたえ、より循環型のデザイン戦略と素材の根本的な可能性を示すとしている。同コレクションは、最先端のリサイクル素材や再生可能素材を多く使用した製品を長く使用するための方法に重点を置き、循環型の生産形態を目指すH&Mの取り組みを強調するとしている。各製品に付属するQRコードを読み取ると、公式オンラインサイト上のTake Care(テイクケア)ページのリンクに飛び、各製品の循環型設計の概要が表示される。

同コレクションの製品は、H&Mが開発中のサーキュラー設計ツール「サーキュレーター」を採用して設計されている。同ツールによりH&Mデザインチームは、耐用年数・素材やデザイン戦略など、衣服の制作工程の全段階における循環型アプローチを考慮できるとみている。サーキュレーターは、サーキュラーエコノミーを目指すH&Mグループが2040年までにクライメートポジティブになるという目標を達成するために開発され、2025年までにH&Mの全製品を同ツールで設計することを目指している。H&Mは製品の長寿命化と効率的な利用を目的とした取り組みとして、ベルリン・アムステルダム・ストックホルムの一部のH&M店舗で同コレクションアイテムの一部のレンタルを導入する意向だ。なお、H&Mのベルリンの一店舗では、2021年10月にパーティーなどでの利用に適したアイテムのIoTレンタルサービスを開始している。

H&Mは同コレクションにおいて、古着のブレザーを使用した6都市(東京・パリ・ミラノ・ロンドン・ニューヨーク・ストックホルム)限定のリメイクブレザーもウィメンズラインの一つとして制作した。古着のブレザーは、ストックホルムにあるH&Mのアトリエと古着回収サービスのパートナーが共同で回収した。都市ごとに異なるデザインで展開し、日本では新宿店にて発売する。

製品の長寿命化・効率的な利用・衣服のライフサイクル全体を考慮して設計段階から循環型ファッションを追求した同コレクションを身にまとうことが、「ファッションを楽しみながら環境保全に貢献する」こととなることが期待される。

※ Innovation Stories:サステナブルなファッションへの変革を推進し、シリーズとして2021年より展開している。毎回異なるテーマを設けており、第1弾では最先端のサステナブル素材を起用、第2弾では環境に配慮した染色方法を採用、第3弾ではヴィーガン素材を起用したコレクションを展開し、動物保護団体の米PETAの認証を得た

【プレスリリース】H&Mのイノベーション・ストーリーズ第4弾として、デザイン段階から循環型ファッションを追求した「Circular Design Story Collection」を発表
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*冒頭の画像の出典:H&M