デジタルリサーチの株式会社メンバーズは10月14日、「気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2021年10月)」の結果を発表した。2021年3月に続く4回目の調査。気候変動に配慮した製品を「購入したい」という人は約7割に上ったが、実際に購入したのは3割弱にとどまった。ただし、実際に購入した人のうち、継続的な購入希望は9割を超えており、非購入者も「価格・品質が従来と同様であれば購入したい」という意向。また、約6割が企業の関連情報発信を「分かりにくい」と回答し、購買行動に繋がりにくい実態もうかがえた。

調査は今年9月1日から3日、Webアンケート調査によって1118のサンプルを集めた。地球温暖化・気候変動への関心を年代別で見ると、20代は5割(50.0%)だったのに対し、50代は7割(71.9%)、60代は約8割(78.4%)と年代が上がるにつれ生活者の地球温暖化・気候変動への関心が高まる傾向にある。次に、購買時に重視することは「価格」でトップ。2位以下の回答を4つの商品カテゴリー(日用品、食料品、家電・電子機器、ファッション)に分けると、日用品や家電・電子機器は「機能性・利便性」、食料品は「入手のしやすさ」、ファッションでは「おしゃれ・デザイン」で、従来と大きな変化は見られなかった。

気候変動配慮商品の購買については、約7割(66.7%)は「価格が同等もしくは 1割程度割高でも気候変動に配慮した商品を選ぶ」と回答。さらに、購入者の9割(96.3%)は「継続して購入したい」と回答し、気候変動に配慮した商品の購入者は満足度が高いことが伺える。しかし、過去半年以内で実際に気候変動の対応商品を購入したのは3割弱(28.1%)のみで、購入意向が高い一方で行動が伴っていない。

ただし、気候変動関連商品の非購入者は「従来の商品と比べて機能や性能、食品なら味が同等」(33.2%)「従来の商品と比べて価格が同等か安い」(32.5%)という商品であれば購入すると回答している。また、「どのような商品が対象商品であるか分かる(24.1%)」ことが重要とする回答も一定数あり、商品の品質やコストだけでなく、分かりやすいパッケージ作り・情報発信の重要性を示した。

さらに「今後取り組みたい」との回答では「気候変動に貢献する認証マーク付き商品の購入」(45.2%)、「再生可能エネルギーを主力電源にしている電力会社への切り替え」(41.3%)「省エネ性能の高い家電などの購入」(37.9%)「ハイブリッド車・電気自動車の利用」(37.2%)など、環境への配慮が明らかな製品・商品・サービスの購買をしたいとの回答も多い。

一方で、6割(61.4%)は企業の気候変動対応に関する情報を「わかりにくく伝わらない」と回答。同社は「事業活動や商品・サービスにおける気候変動の関連情報に関して、企業はより具体的で分かりやすい情報を発信する必要がある」と指摘。生活者が望む企業の気候変動対応情報であるテレビ CM(56.1%)、企業の Web サイト(37.7%)、商品パッケージやサービスへの表示(34.2%)、ソーシャルメディア(29.2%)」などでわかりやすい表示を行えば、さらなる顧客開拓に繋げられると示唆している。

同社は今回の調査を分析・解説するウェビナーを11月4日午後3時から開催する。「脱炭素DX」をテーマに、調査アドバイザーの駒澤大学青木茂樹教授を迎え、サーベイ結果を分析・解説するほか、環境経済学の専門家でありメンバーズのアドバイザーである京都大学大学院の諸富徹教授、再生可能エネルギー事業などを行う株式会社UPDATER(旧:みんな電力株式会社)の三宅成也COO専務取締役をゲストに迎える。

【関連サイト】「脱炭素DX」脱炭素と事業成長の両立を考える/2021年11月4日(木)開催
【参照リリース】メンバーズ「気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査」

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する金融投資メディア「HEDGE GUIDE」の「気候変動配慮商品、購買経験者は3割弱も「継続したい」は9割。メンバーズが生活者意識調査」より転載された記事です。