環境省とフィリピン政府等は9月29日と30日、SDGsの地域化と新型コロナ危機からの復興をテーマに、「第11回持続可能な都市ハイレベルセミナー」(以下、HLS)をWeb形式で開催。東アジア首脳会議諸国15カ国の政府関係者と自治体、国際機関や企業の約150名が出席した。

2010年以降毎年開催されているHLSは、都市のクリーン化に取り組む影響力のある東アジアの政策立案者・専門家・実務家が集まるセミナーで、今回で11回目となる。目的は、参加者が協力して持続可能な都市開発に関する最新のアイデアやイニシアチブを共有・促進し、東アジア首脳会議環境大臣会合への具体的な勧告を行うことだ。今回のHLSの主要テーマは、新型コロナウイルス感染症が人の健康及び経済社会に甚大な影響をもたらしたことから、SDGsの地域化を通じて持続可能でレジリエントな社会を構築することであった。出席者は以下の取り組みを共有し、議論を行った。

  • SDGsの地域化を通じて、サステナブル・リカバリーやポストコロナ時代の持続可能でレジリエントな社会構築を進めることが必要で、都市が果たす役割が重要である。2018年度のセミナーで立ち上がったASEAN SDGsフロントランナー都市プログラムの実施報告および関連国や自治体、企業、国際機関などの取り組みが紹介された。日本からは、SDGs未来都市に選出されている自治体(ニセコ町・さいたま市)の取り組みが紹介された
  • 気候変動対策はSDGsのさまざまな目標に関連する。この2つの国際的な開発課題に同時に取り組むことが持続的な社会の構築、人々の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)の向上につながる
  • 「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」への3つの移行を加速することが重要。都市は気候変動の緩和・適応対策に取り組んでいる。また、スマートシティや持続可能なモビリティなど新技術も取り入れた都市づくりが進められている。脱炭素社会実現のための都市間連携事業に参加している自治体(北九州市・大阪市)の取り組みが紹介された
  • 都市が発展するにつれて廃棄物管理は大きな課題となっている。具体的な目標を持って3Rの取り組みを推進するなど、環境・社会・経済の同時解決に向けた取り組みが進められている。地域循環共生圏の事例として、みやま市や西粟倉村の取り組みが紹介された
  • 海洋プラスチックごみへの関心は高く、科学的な知見の蓄積や好事例の共有などが進められている。また、行政のみならず地域ステークホルダーとの連携・共同や市民参加による取り組みが進められている
  • 今後訪れるASEAN地域における高齢化社会や将来世代のケアなど、社会的な課題も視野に入れた総合的な都市づくりのアプローチが重要である。新型コロナを契機として、レジリエントで自律的な社会づくり・都市づくりが必要である
  • 今回得られた知見や成果などを、ハイレベル政治フォーラムをはじめ、持続可能な開発に関する国際的な議論の場に提示し、普及するための活動を支援する

SDGsの地域化と新型コロナからの復興がテーマとなった、今回の持続可能な都市ハイレベルセミナー。東アジア諸国のさまざまな取り組みを共有し、協力していくことで、より良い社会が構築されていくことが期待される。

【プレスリリース】第11回「持続可能な都市ハイレベルセミナー」の開催結果について
【参照サイト】High Level Seminar on Sustainable Cities