成田国際空港株式会社(以下、NAA)はこのほど、ANAホールディングス株式会社(以下、ANA)と日本航空株式会社(以下、JAL)と共同で、資源循環プロジェクト「成田空港で資源をまた使おうプロジェクト」を開始した。

第1弾として、NAAとJALが「プラスチック資源循環」を4月1日に始動させた。貨物用シートやストレッチフィルムなど、廃棄される航空貨物用の梱包フィルムを回収し、99%廃プラスチックを含むごみ袋に再生。日本空港テクノ株式会社を含む4社と協働し、ごみ袋を旅客ターミナルビルなどのごみ箱で使用する。同取り組みにより、年間130トンの廃棄プラスチックを資源循環できるとしている。

第2弾では、NAA・JAL・ANAが「木材資源循環」を順次運用開始する。木製パレットや木製ボードなど、廃棄される航空貨物用の木製輸送資材を回収し、角当てやボードなどの輸送用資材に再生して航空貨物輸送に使用する。同取り組みにより、年間700トンの木製パレットを資源循環できる予定だ。

NAAは、2050年度までに成田空港から排出されるCO2を50%削減(2015年度比)する目標を掲げている。しかし、成田空港の航空貨物取扱量は世界第5位(2021年度)と多く、貨物関連の廃棄物が多く発生している。これまで、空港関連事業者は独自に取り組みを実施してきたが、今回、株式会社サティスファクトリーと協働し、他社を巻き込み新たな資源循環スキームを構築した。NAAは今後、参加企業や品目などを増やし、プロジェクトを拡大していきたい考えだ。

航空関連の廃棄物については、世界で取り組みが開始されている。2022年11月、モビリティの専門家を会員とする米国の非営利団体SAEインターナショナル(SAEI)と国際航空廃棄物管理協会(IAWMA)は、G-36持続可能な廃棄物管理委員会の設立を発表した。同委員会は、世界の商用航空・空港・機内キッチンで使用される製品・工程・サービスの基準とベストプラクティスの策定を目指している。ベストプラクティスとイノベーションを共有し、航空業界内外の利害関係者の参加を増やし、航空業界におけるSAE規格の開発を促進したい考えだ。

【プレスリリース】成田空港×ANA×JAL共同『成田空港で資源をまた使おうプロジェクト』始動!!
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*冒頭の画像の出典:成田国際空港株式会社