アメリカ合衆国に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカープロクター・アンド・ギャンブル(以下、P&G)は、4月22日のアースデイ50周年にあわせて自社ブランドOld SpiceとSecretからプラスチックフリーなデオドラント製品の発売を公表した。

プラスチックを使用しないパッケージへの挑戦

Secret、Old_Spiceのデオドラント
左:Secret 右:Old Spice

このデオドラントはプラスチックを一切使用せず、紙をチューブ型にしたパッケージを採用しており、プラスチックゴミ削減に関心のある消費者と共同でデザインしたものだ。このプラスチックフリーのデオドラントは、5月からアメリカの500店舗のウォルマートで販売される。

P&Gは自社の現状に目を向け、プラスチック廃棄を削減すべく、この取り組みを始めた。「今まで製造してきた当社のデオドラントパッケージの10%をリサイクル可能な資源に代えることで、年間約680トンものプラスチックゴミを削減することができる。」とP&G ビューティにてグローバルサステイナビリティの副所長を務めるAnitra Marsh氏は話す。

今回発売する紙チューブパッケージは90%リサイクル可能な紙で作られ、森林管理協議会(Forest Stewardship Council) に認証されており、プラスチックのデオドラントスティック容器に代わるデザインとして注目されている。P&Gは、この新デザインに消費者がどのような反応を示すか注目しており、成功すればパッケージラインナップを増やしていくとしている。

また、このプラスチックフリーパッケージ製造の背景には、消費者の製品に対する動向も考慮されている。「近い将来に経済の中心となるといわれる世代(Generation Z)の大半が、環境に優しい製品に高い期待感を示している。」とパーソナルケアとP&Gビューティの部長を務めるFreddy Bharucha氏は話す。

環境への貢献が企業経営の最重要課題に

P&Gとウォルマートはサステナビリティ分野において積極的な目標を公に宣言しており、P&Gブランドは2030年までに50%の石油のバージンプラスチックの使用を削減しながら、100%リサイクル・再利用可能なパッケージを使用することを公表した。ウォルマートはアメリカ、イギリス、カナダ、日本での経営において2025年までに土壌へのゴミをゼロにするよう尽力している。

ウォルマートの購買部シニアマネージャーJason Kloster氏は、「アメリカ最大の消臭、制汗剤ブランドとパートナーを組む世界最大の小売会社として、この紙チューブパッケージ導入は重要な一歩で大きな影響を与え、より広い効果のある取り組みに繋がる一歩となる有望な製品だ。」と語る。

わたしたち消費者は企業に優れた商品を求めることだけでなく、世界が直面しているサステナビリティ関連の課題解決への取り組みも同時に期待している。消費者の関心が環境問題へ高まっている中、P&Gが今回の取り組みでどのような成果を出すことができるのか注目が集まるだろう。環境に配慮した経営をしていくことは今後の企業の重要な役割になっていくのではないだろうか。

【参照記事】OLD SPICE AND SECRET BECOME FIRST MAJOR BRANDS TO INTRODUCE ALL-PAPER, PLASTIC-FREE DEODORANT PACKAGING

(※画像:Procter & Gamble より引用)