スターバックス コーヒー ジャパン株式会社(以下、スターバックス コーヒー ジャパン)は6月23日、資源循環や廃棄物削減に向けた2つの取り組みを開始した。

事業運営を通じて資源を使うより生み出し、還元していく「リソースポジティブ」の実現を目指し、スターバックスは炭素・水・廃棄物のフットプリントを50%削減するという目標を掲げている。今回、スターバックス コーヒー ジャパンが開始するのは、店舗から出るコーヒー豆かすを循環させてつくった新商品「キャロットケーキ」の販売と、不用になったタンブラーを新製品にリサイクルするプログラムだ。

抽出済みのコーヒー豆かすの堆肥で育ったニンジンのケーキ

スターバックス コーヒー ジャパンの店舗では1日1店舗当たり約16kgの抽出済みのコーヒー(豆かす)が排出されており、店舗から出る食品廃棄物の約7割を占めるとしている。この豆かすを廃棄せずに堆肥にリサイクルし、その堆肥で育ったニンジンを使用した「キャロットケーキ」の販売を公式オンラインストアにて6月23日に開始した。12.5センチのホールタイプで、価格は3,240円(税込)となっている。

(画像の出典:スターバックス コーヒー ジャパン)

2014年3月、スターバックス コーヒー ジャパンは豆かすの有効活用を目指し、堆肥や牛の飼料としてリサイクルする「コーヒー豆かすリサイクルループ」を開始した。現在320店舗が豆かすのリサイクル活動に取り組んでおり、以下のような循環システムを構築している。

  • 豆かすをリサイクルした堆肥で育った野菜をサンドイッチの具材などに使用
  • 豆かすをリサイクルした堆肥で育った抹茶を原材料とした「抹茶クリームバー」や「根菜チキン サラダラップ」を販売
  • 豆かすをリサイクルした飼料で育った乳牛のミルクをさまざまなドリンクの材料として使用

豆かすのリサイクル率を現在の23%から50%(2021年比で2024年における目標数値)にするため、スターバックス コーヒー ジャパンは農家との協働を促進し、実施店舗や対象商品を拡大していく意向だ。

不用タンブラーを新製品にするリサイクル

6月23日~8月31日、不要になった同社のプラスチック製タンブラー・ボトル・カップ・マグを全国約500店舗で回収し、新製品をつくるリサイクルプログラムを実施する。同プログラムは、環境省の「プラスチック・スマート」キャンペーン(※)および日本環境設計株式会社の「BRING PLA-PLUS」の一環として実施している。回収したタンブラー・ボトル・カップ・マグは2022年の商品化を目指すとともに、店舗資材として使用する予定だ。タンブラー1個につき、タンブラー・マグ・ボトルなどのドリンクウェア商品の購入時に使用できる5%割引クーポンを提供するとしている。今回のプログラム内容を踏まえ、対象店舗の拡大や回収の恒常的な実施に向けて、検証を進めていく予定だ。

(画像の出典:スターバックス コーヒー ジャパン)

カーボンニュートラルに向けたコーヒー作りを目指し、スターバックスは世界でさまざまな取り組みを実施している。2021年3月から2カ月間、米シアトルの5店舗にて再利用可能カップの使用試験を実施した。英国では、使い捨て紙カップをトラベルマグにリサイクルしている英Circular&Co.に使い捨てカップを提供している。今後も同社は、地域社会や地球環境の持続可能性を実現する取り組みを積極的に進めていく構えだ。

※ 「プラスチック・スマート」キャンペーン:消費者・自治体・NGO・企業などが協力して取り組み、「プラスチックとの賢い付き合い方」を全国的に推進し国内外に発信していく活動

【プレスリリース】スターバックスが挑戦し続けるリソースポジティブの活動がさらに進化 資源を活用してリサイクルし、新たな商品として店舗で販売する2つの「ループアクション」をこの夏スタート
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