住友化学株式会社(以下、住友化学)はこのほど、金属・自動車・家電などを扱う総合リサイクル企業であるリバーホールディングス株式会社(以下、リバーホールディングス)と業務提携に向けた検討を開始することに合意した。同提携はサーキュラーエコノミーへの移行に向けたマテリアルリサイクルの取り組みを加速させることを目的とし、今後1年以内に提携について判断する予定だ。

経営として取り組む重要課題(マテリアリティ)の一つに環境負荷低減への貢献を掲げる住友化学は、環境負荷低減の実現に向けて、他企業や学術機関と共にケミカルリサイクル技術の開発を進めているほか、マテリアルリサイクルやフィルムのモノマテリアル化などにも注力している。これらの技術・製品の普及には早期開発に加え、天然資源から製品を製造・販売する「動脈産業」と使用済み製品を回収・処理・再資源化する「静脈産業」の密接な連携と、資源回収から分別・粉砕・再製品化・販売までの一連のリサイクル体制構築が必要であると住友化学はみている。

今回の業務提携に向けた検討では、住友化学のプラスチック製造技術と、リバーホールディングスが有する廃棄物リサイクルの技術・知見を融合させて、回収されたプラスチック廃棄物を製品として再生させるマテリアルリサイクルを目指す。具体的な検討事項は、以下である。

  • 主に使用済み自動車に由来するプラスチックの高度な選別技術の開発
  • 幅広い製品に適用できる再生プラスチックの製造
  • 当該活動における環境負荷評価
  • 住友化学が事業化を目指している複数のケミカルリサイクル技術のうち、廃棄プラスチックを原料とする技術における活用

提携のイメージ:(出典:住友化学株式会社)

海洋プラスチックごみ問題やバーゼル条約をはじめとする諸外国の廃棄物輸入規制強化などに対応するべく、6月4日に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が参院本会議で可決され、2022年4月から施行されることとなった。同法案では、製造・販売事業者などによる自主回収および再資源化が定められ、再資源化の仕組み構築が求められている。業界大手同士の連携は大きなインパクトを与える可能性がある。

【プレスリリース】リバーホールディングスと業務提携に向けた検討を開始 ~総合リサイクル企業との連携によりマテリアルリサイクルを推進~
【プレスリリース】住友化学との業務提携に向けた検討を開始 
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