オーストラリア、カナダ、チリ、フィジー、ガーナ、インドネシア、ジャマイカ、日本、ケニア、メキシコ、ナミビア、ノルウェー、パラオ、ポルトガルの首脳は、2025年までに約3,000万平方キロメートルの各国水域を持続可能な方法で管理することに合意した。 海の環境を守ることを、経済回復を加速するための最上位施策と位置付けている。

2020年12月2日に開催された持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル(海洋パネル)に参加した14か国は、アフリカ大陸の面積に相当する約3,000万平方キロメートルの各国水域で、保護・生産・繁栄のバランスを取る包括的な取り組みを進めていくことに合意した。同時に、世界中の海洋沿岸国に対し、すべての排他的経済水域(EEZ)が2030年までに持続可能な方法で管理されることも求められた。

海洋パネルは、地球上の生命や人々の生活、経済の中心である海の健康が、汚染や乱獲、気候変動などの危機にさらされていることから、世界中の人々に利益をもたらし、効果的に海を保護する持続可能な海洋経済を実現するための開発を2年前に開始した。それにより定義された新しい海洋行動に関する課題が達成されれば、海から6倍もの食料を生産し、40倍の再生可能エネルギーを生成し、何百万人を貧困から救う。さらに、気温上昇を1.5℃以内に抑えるための温室効果ガス排出量削減の5分の1に対して貢献する。

海洋パネルでは、14か国からの100%のコミットメントに加え、74の優先行動が「持続可能な海洋経済のための変革」のなかで定義された。 特に、海洋の富・海洋の健全性・海洋の公平性・海洋に関する知見・海洋ファイナンスという5つの重要な分野において、次の10年に世界が向かうべき方向を提言し、2030年までにこれらの行動を実行することが約束された。

この日発表された「人・自然・経済に利益をもたらす海洋ソリューション」では、持続可能な海洋経済を達成することは可能で有益であるが、これまでどおりの経済活動を続ければ実現できないとし、移行を実現するための5つのアプローチを定義している。

世界が新型コロナウイルス感染症拡大から受けた経済的な損失から回復するにあたり、海から得られる利益は欠かすことができないものであり、海をより健全な状態にしていくことは重要な投資となる。海洋パネルの調査では、持続可能な海洋管理のために1ドル投資することによって、5ドル以上の社会・健康・経済・環境面での利益を得られるとしている。

持続可能な海洋管理を実現するために必要な行動を加速・拡大し、そのための資金調達をするための施策はすでに進んでおり、その一例として海洋再生可能エネルギー行動連合(OREAC)は、海洋ベースの再生可能エネルギーの開発を拡大することにより世界中の政府を支援しようとする「Power of Our Oceanレポート」を発表した。

地球上では、毎日30億人以上が海洋由来の食料に依存している。 海は地球の70%を覆い、地球上で生産される物の90%以上を輸送するのに使用される。人間は健全な海から、年間1.5兆ドルの利益に加え、生きる楽しみや文化的な価値をも享受し、また、多くの人が漁業、観光、運輸など海に関連する業務に従事している。海は地球上の二酸化炭素排出量の約4分の1を吸収し、世界の酸素の半分を生成することで気候を安定させるのにも役立っている。この重要な資源を保護しその利益を守るために、世界は持続可能な海洋経済に移行していくことが迫られている。

【参照記事】14 World Leaders Commit to 100 Percent Sustainable Ocean Management to Solve Global Challenges; Call for More Countries to Join | High Level Panel for a Sustainable Ocean Economy
【参照】持続可能な海洋経済のための変革
【参照】Ocean Solutions that Benefit People, Nature and the Economy
【参照】The Power of Our Ocean