Fabric株式会社とテラサイクルジャパン合同会社はこのほど、SDGsに対する一般消費者の態度・行動の変化と、企業や消費者ブランドの対応の変化を追跡し、年次調査の結果を発表した。

同調査の目的は、日本の消費者のサステナビリティに対する行動様式について考察を示し、企業が社会との新しい対話を始め、優れた戦略を生み出すきっかけを提供することだ。今年で2回目となる同調査は、15歳から69歳までの日本全国の6800人の消費者を対象に実施された。

今回の共同調査では、コロナ禍の「家庭回帰」により「家庭ごみ」が著しく増加したことから、過剰包装に対する問題意識が高まり、使い捨て容器包装に対する関心が急上昇していることが明らかになったとしている。同調査の結果と両社の見解は、次のとおり。

サステナビリティに対する意識が大きく向上しているが、劇的な変化とは言えない。特に過剰包装に対する消費者の意識の大きな変化は、一般消費者のサステナビリティに対する意識の高まりが理由というだけでは説明できない。

一般消費者のサステナビリティ意識・SDGsリテラシー・気候変動に対する個人の責任感の向上を追跡調査していくと、毎年約5%意識が高まっている。その中で、過剰包装に関する意識が90%以上の項目もあり、大幅に上昇している。環境に配慮した包装に対しては追加料金を払ってもよいとする人や過剰包装を避けブランドを切り替える意思を示す人などは40%以上伸びた。これは環境問題に対する認知度が向上したというだけでは説明できず、直接的な負の経験が原動力になっていると考えられる。

(出典:Fabric株式会社、テラサイクルジャパン合同会社)

両社は、定性調査とテラサイクルジャパン合同会社の日本の廃棄物問題に関する知見を組み合わせ、サステナビリティへの意識の大幅向上の理由として、「コロナ禍における行動の変化」を特定した。

企業やブランドは、廃棄物や過剰包装の問題に対する消費者の関心が高まりつつある機会を利用して、スマートでクリーンなソリューションを作り出し、新しい顧客を惹きつける努力をすべきであるとの見解を両社は示した。今後、企業がどのような意思決定を下すかが、企業がサステナブルな成長を軸とした新しいモデルに適応し、成功を収めるか否かを決めていくだろうとしている。

家庭ごみ削減を目的とする企業や自治体の取り組み例としては、京都府のテラサイクルの循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」導入がある。Loopは、従来使い捨て容器で販売されていた製品をリユース容器で販売し、使用済み容器は回収・洗浄して製品を再充填し、再び販売する循環型ショッピングプラットフォームだ。そのほか、外食産業における持ち帰り用リユース容器提供などの取り組みも展開されている。今後、行政・企業・消費者が共同で家庭ごみ削減を目指して行動していくことが期待される。

【プレスリリース】【日本全国6,800人を対象とした年次SDGs意識調査発表】「日本におけるサステナビリティの現状」コロナ禍で家庭ゴミ急増により過剰包装に対する消費者意識が急上昇
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