クーパービジョン・ジャパン株式会社はこのほど、東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 野原研究室との共同プロジェクト「プロジェクト・ビジョン2022」において、使い捨てコンタクトレンズのブリスター(空ケース)廃棄に関する展示会とトークセッションを開催した。

共同プロジェクトの目的は、使い捨てコンタクトレンズの環境問題に関する主な調査結果・文献レビューであった。日本在住の15~49歳(スクリーニング調査2201名、本調査450名)を対象に、2022年9月29日から10月6日まで、インターネット調査サービスFastaskでアンケートを実施した。調査結果は以下のとおり。

  • 日本国内で1日に排出される空ケースは推定約1400万個(140トン)
  • 空ケースはリサイクルに適した素材でつくられているが、ユーザーの約70%が燃えるごみとして処理している
  • リサイクル用の回収箱に空ケースを持ち込むユーザーは約4%
  • 消費者行動に容器包装のデザインが影響を与える

同調査とデザイン・アート表現を通して、空ケース廃棄に関する環境問題への問いと解決策を提示するべく、両組織は展示会とトークセッションを開催した。

野原研究室は、デザインとアートで表現する方法を提案。使用済み空ケースの分別・回収・リサイクルの工程を追体験できるゲーム型の試作品や、個人の行動が環境に大きな影響を与えることが感じられるアートなどを展示した。制作を担当した野原研究室の学生による解説のもと、子どもから大人まで来場者が作品を体験しながら、コンタクトレンズと環境について思索・議論した。

トークセッションには、東京工業大学 教授 野原佳代子氏、武蔵野美術大学 造形構想学部長・教授 井口博美氏、有限会社プロトタイプ 代表取締役 渡辺光章氏、ナヴァプロダクツ 坂本敏昭氏など7人が登壇し、展示の総評や、空ケースを通した環境問題の再考についての議論を展開した。

クーパービジョン・ジャパン株式会社 代表取締役社長 井上佳子氏は、「空ケースのリサイクル率は低いが、多くの人がこの問題を自分事として捉えることが出発点になる」とし、同プロジェクトをもとに今後もサステナビリティ向上に向けた取り組みを継続していく意向を明らかにした。

「クーパービジョンみらいプロジェクト」の仕組み

同社は、空ケースを回収し新たな資源としてリサイクルするプロジェクト「クーパービジョンみらいプロジェクト」を実施している。プロジェクトには、自宅で集めた空ケースを回収箱に入れることで、誰でも参加できる。

空ケースの資源循環に向けた取り組みはほかにも実施されているものの、空ケース回収の改善機会が大きいことが同調査で明らかになった。回収の改善には、多くの個人や企業などを巻き込み、回収場所と回収量を増やすことが必要だ。こうしたプロジェクトが、個人および企業などの意識向上と行動に貢献していくことが期待される。

【プレスリリース】「プロジェクト・ビジョン2022」展示発表会 イベントレポート
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*記事中の画像の出典:クーパービジョン・ジャパン株式会社