東レ株式会社はこのほど、電子部品用途における使用済みポリエステル(PET)フィルムを回収・再利用するリサイクルシステムを構築し、環境配慮型のPETフィルム「Ecouse」(エコユース)シリーズを開発したことを発表した。年間生産2,500トン規模の体制を構築し、本格販売を開始する。

PETフィルムの用途は、電子部品や包装材料、およびディスプレイ関連など幅広い。なかでも今回、回収・再利用を行う電子部品用フィルムは、フィルム製造から廃棄までのサプライチェーンが比較的短いことから、使用済みフィルムのリサイクルシステムの検討が進められてきた。しかし、サプライチェーンの各工程で使用されるさまざまな塗材と樹脂などを除去する方法がこれまで存在せず、フィルムへの再利用は困難だったため、廃棄物処理やサーマルリサイクルでの活用が中心であった。

そこで、同社はサプライチェーン各社と協力して、電子部品用途における使用済みPETフィルムを回収・再利用するリサイクルシステムを構築し、運用を開始した。そして、フィルム表面の塗材と樹脂を除去するメカニカルリサイクル(※1)処理技術と、各製造工程における異物除去を組み合わせて、機械特性と信頼性を損ねずにフィルムに再利用することに成功した。環境配慮型PETフィルムEcouseシリーズは、化石由来原料および廃プラスチックの削減に加え、CO2排出量(※2)を同社従来品比30%~最大50%削減できる。

Ecouseは、同社が2015年から世界展開しているリサイクル素材および製品の統合ブランドだ。フィルム分野では従来、製造工程で発生した端材を原料としてフィルムに再利用する取り組みを実施してきたが、今回、顧客から回収して再利用処理した原料を用いたPETフィルムEcouseシリーズを開発したことで、リサイクルフィルムの展開を加速する。今後、さらなるリサイクルシステムと生産体制の構築を進め、電子部品用途だけでなく、各用途でリサイクルフィルムの拡大を目指していく意向だ。また、PET以外のフィルムやフィルム加工品においてもEcouseの展開を拡充する。

同社は、地球環境問題や資源・エネルギー問題に対してソリューションを提供するグリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクトのなかで、サステナブルな循環型社会の実現に向けて、省エネルギーやバイオマス、およびリサイクルなどの幅広い分野で事業拡大に取り組んでいる。今後も、革新技術・先端材料の提供によって、世界が直面する「発展」と「サステナビリティ」の両立をめぐるさまざまな課題解決に貢献していく構えだ。

※1:プラスチックを粉砕・洗浄したあとにリサイクルする物理的再生方法
※2:CO2排出量の算定範囲は、使用済みフィルム回収からフィルム製造まで

【プレスリリース】サステナブルな社会の実現に貢献する環境配慮型ポリエステルフィルム「EcouseⓇ」シリーズを販売開始