東洋製罐グループホールディングス株式会社はこのほど、使用済みカップを可燃ごみから資源に変えるプロジェクト「CUP TO CUP PROJECT」を開始し、使用済み飲料・食品用カップ洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」を提供している。

近年、海洋プラスチックが世界的問題となっていることを受け、プラスチック製品のリサイクルや紙製品への代替が進められている。資源の有効活用や循環の仕組み作りが求められているなか、同社は、イノベーションの開発と豊かな社会の実現を目指すプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」の一環として同取り組みを実施する。

Re-CUP WASHERの特徴について、同社は以下を発表した。

  • 幅400mm・奥行500mm・高さ880mm
  • 紙コップなどの使用済み容器をワンタッチ操作で水圧洗浄
  • 仕様は、常温水と温水の2種類
  • お茶などの軽度な汚れから、スープ・クリーム・調味料などの重度な汚れまで対応

Re-CUP WASHERで汚れが除去された紙コップは、製紙メーカーと連携して再生紙製造プラントに運搬し、表面のプラスチック膜を分離・除去して再生紙原料を抽出する。その後、同社傘下の東罐興業株式会社の工場にて、再生紙原料を用いて新しい紙コップを製造し、現状のサーマルリサイクルから、資源を再利用できるマテリアルリサイクルへの移行を目指すとしている。

東洋製罐グループホールディングス株式会社が開始したCUP TO CUP PROJECTは、事業者や自治体と共同で使用済みカップの回収スキームを検討しているプロジェクトだ。洗浄されたカップは、産業廃棄物として処理する必要がないため、店舗における処理コスト(従業員による分別・洗浄の工数、産廃業者の費用)を軽減できる可能性があるとしている。

同取り組みの大きな特長は、紙コップの汚れを消費者自らが洗浄することで、消費者がSDGsやリサイクル活動に貢献する機会を創出することであるとしている。「洗う」という一つの行動が使用済みカップを産業廃棄物にするか、資源にするかの分かれ道となる第一歩であることを消費者が実感することを同社は期待している。

今後、同社はRe-CUP WASHERのカフェや飲食店への販売および実証実験を実施する予定で、SDGsや包装容器の循環の実現へ貢献するべく取り組みを進めていく考えだ。同社が強調するように、今回の取り組みでは消費者の参加が鍵となる。どのように消費者を巻き込むか、より一層の工夫が求められる。

【プレスリリース】東洋製罐グループ、使用済み紙コップ等を”可燃ごみ”から”循環資源”に。消費者参加型カップ洗浄機「Re-CUP WASHER」を提供開始~包装容器の循環社会”Package to Package” 実現への挑戦~
【関連記事】東洋製罐グループホールディングス、エレン・マッカーサー財団に日本の容器メーカーとして初の加盟
*記事中の画像の出典:東洋製罐グループ