アメリカに本拠を置く小売世界大手ウォルマートは、2040年までに事業全体でゼロエミッション実現を目指し、気候危機への対応を加速することを発表した。また、2030年までに少なくとも5000万エーカー(約20万平方キロメートル)の土地と100万平方マイル(約258万平方キロメートル)の海を保護・管理・復元することを目指す。

2040年までのゼロエミッション実現にあたり、同社はカーボンオフセットを利用せずに以下のような取り組みを行っていく。

  • 2035年までに同社施設で風力や太陽光などを使用した100%再生可能エネルギー由来の電力供給を行う
  • 2040年までに長距離トラックを含む全車両を電化して、CO2排出量をゼロにする
  • 2040年までに店舗や頒布会・データ・配送センターの冷暖房用として、環境負荷の少ない冷却材と電気式の暖房機器を使用する

また、同社は地球の自然消失に対して、ウォルマート財団とともに環境再生型アプローチを以下の方法で行っていく。

  • 米国で開発した1エーカー(約4000㎡)の土地ごとに、少なくとも1エーカーの生息地を保護する取り組みの支援を引き続き実施する
  • 環境再生型農業の実践と持続可能な漁業管理、そして同社の森林政策の発展を含む森林の保護・回復を推進する
  • 自然生態系を保護し、サプライヤーの従業員の生活向上を促す、地元に根ざした取り組みをサプライヤーと協力して投資を行う

これまで15年間、同社は他企業とともにグローバルサプライチェーン全体でサステナビリティに関する取り組みを行ってきた。今日までに、同社は事業の約29%で再生可能エネルギーを使用し、廃棄物の約80%を埋立・焼却処分から回避している。同社の環境インパクトのほとんどはサプライチェーン由来であるため、「Project Gigaton」 イニシアティブを通じて、サプライヤーと協力して2030年までに1ギガトンのCO2排出量削減を目標としている。同イニシアティブには2300以上のサプライヤーが署名しており、2017年の取り組み開始以来、サプライヤーは合計2億3000万トンのCO2排出量を削減した。

ウォルマートの最高経営責任者(CEO)であるダグ・マクミロン氏は、「当社は、世界のサプライチェーンを環境再生型にするために重要な役割を果たしたいと考えています。気候変動と自然消失の危機に私たちは直面しており、今すぐに全員が行動しなくてはなりません。15年間私たちはサステナビリティへの野心を継続的に高めるべく、協力して取り組んできました。この取り組みは、ウォルマートの世界的事業の脱炭素化のみが目的ではなく、同社が地球保護に加えて回復・復元・補給を行う環境再生型企業になるためのもので、みなさんにも同じことをすることを推奨します」と述べている。

【プレスリリース】Walmart sets goal to become a regenerative company