大林組は2026年10月15日、東京都清瀬市の大林組技術研究所に実験棟「オープンラボ3(OL3)」が完成したと発表した。同社が掲げる循環型の建設システム「サーキュラーコンストラクション」を形にした施設で、同年6月に竣工した。
OL3は、老朽化した実験棟の建て替えを契機に整備された。既存建物を廃棄するのではなく、次の建物に生かす資源として扱った点が特徴だ。構造部材のリユースや低炭素資材・リサイクル材の活用、環境配慮技術の採用など、資源循環と脱炭素に関わる技術を盛り込んだ。施設は、第1期工事の鉄工作業所と、第2期工事の木工作業所および研究エリアで構成される。
第1期工事の鉄工作業所では、1993年竣工の鉄骨造2階建ての電磁環境実験棟を解体し、取り出した部材を新築建物の構造体として再利用した。柱・梁・ブレースなどの鉄骨部材は、解体時に再利用できる状態で取り外した。そのうえで、新築建物に合わせて一部を再加工・調整した。基礎・基礎梁・小梁・床スラブなどのコンクリート構造部材は、新築建物の平面形状に合わせて現場で切断した。接合部を加工し、新たに構築した部材と接合した。いずれの部材も、品質や寸法を確認したうえで活用した。
構造部材に占めるリユース材の割合は、鉄骨で57%、コンクリートで33%となった。鉄骨・鉄筋・コンクリート部材をすべて新材とした場合と比べ、製造時のCO2排出量を約49%削減したという。同社によると、木造建築では解体後の木材を再利用する例が古くからある。一方、解体後の鉄骨やコンクリート部材をそのまま新築建物の構造体に使うのは、国内初の取り組みだ。柱間を変更するなど、場所や既存建物の形状にとらわれず、高い自由度で構造部材を活用できるようにした。解体時の産業廃棄物の発生抑制にもつながるとしている。この取り組みは、2025年度リデュース・リユース・リサイクル(3R)推進功労者等表彰で国土交通大臣賞を受賞した。

第2期工事では、電磁環境の研究に加え、将来の研究テーマにも柔軟に対応できる研究エリアを整備した。建物の内外には、CO2を固定する「クリーンクリートN」「リグニンクリート」、海洋副産物を活用した仕上材料「スキャロップシリーズ」、土系・木質系の舗装、緑化技術などを導入した。基礎と地中梁の主筋には、カーボンオフセットにより製造時のCO2排出量を実質ゼロとした鉄筋を採用した。
省エネルギー面では、外壁や開口部などの外皮を高断熱化し、高効率設備を導入した。そのうえで、年間の一次エネルギー消費量を再生可能エネルギーによる創エネルギーで差し引きゼロ以下とし、ZEB認証の最高ランク『ZEB』を取得した。
建設資材の循環利用にも取り組んだ。大阪・関西万博のパナソニックグループパビリオン「ノモの国」で使われた設備機器・建材180点をリユースしたほか、建設現場由来のプラスチックフェンスや、解体工事で発生したアルミスクラップを再生したアルミサッシも活用した。
大林組は今後、OL3で得た知見を設計・施工に生かす方針だ。建物を「つくって終わり」にしない循環型建設を通じて、脱炭素社会と循環型経済の実現に貢献するとしている。
※冒頭の画像はプレスリリースより引用
【プレスリリース】大林組技術研究所の実験棟「オープンラボ3」が完成
【参照記事】大林組技術研究所「オープンラボ3」での取り組みが3R推進功労者等表彰で国土交通大臣賞を受賞(大林組)
【参照記事】建設現場で発生するアルミスクラップの水平リサイクルフローを構築し、新築建物でアルミサッシとして再生利用が実現(大林組)
【参照記事】クリーンクリートN(大林組)
【参照記事】リグニンクリート(大林組)
【関連記事】大林組、建設現場の木製型枠をバイオ炭にしてコンクリートに。実験棟外壁で19.3tのCO2削減
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