株式会社アシックスは、不要になった衣類や工場内で出た繊維廃棄物からつくられるリサイクル糸（再生ポリエステル材）を採用したシューズ「Earth Day Pack（アースデーパック）」を4月16日から順次発売している。取扱店舗はアシックス直営店とアシックスオンラインストア、全国のスポーツ用品店などだ。

アースデーパックは、廃棄される衣類の活用や石油由来材料の使用量削減など、サステナビリティの観点から企画したものであるとしており、ランニングシューズ6品番とタウンユース向けのスポーツスタイルシューズ3品番、テニスシューズ2品番をそろえている。リサイクル糸は主にアッパー（甲被）に採用しており、アースデーパック全体でＴシャツ2万5,000枚に相当するリサイクル糸約5トンのほか、一部商品にリサイクルレザーなども使用している。

中敷は、生地を製造する際にあらかじめ原料自体に着色する染色技術「ソリューションダイ」を採用したメッシュを使っており、生地を染色する従来の工程と比較して、材料製造時の水使用量とCO2排出量を大幅に削減できるとみている。

同社が発表した商品例と特徴は、以下のとおりだ。

ランニング

〈GLIDERIDE 2（グライドライド 2）〉
  • アッパーのポリエステル材リサイクル率：50%以上
  • 靴底前部にカーブを設けるなど、走行時のエネルギー消費を抑えながら効率的に足を前に運ぶ機能構造としたモデル
  • 品番：1011B159（メンズ）、1012B018（ウィメンズ）
  • 価格：18,700円（税込）

スポーツスタイル

〈TARTHER BLAST（ターサーブラスト）〉
  • アッパーの主要素材のリサイクル率：40%以上
  • 30年以上にわたりトップ選手から愛用され続けているレジェンドアイテム「TARTHER」初代モデルのクラシックなデザインと、先進的なテクノロジーが詰まったフォーム材「FLYTEFOAM Blast」を組み合わせ、新たな快適性と価値を持たせたシューズ
  • 品番：1201A219
  • 価格：14,300円（税込）

テニス

〈GEL-RESOLUTION 8 L.E.（ゲルレゾリューション8 エルイー）〉
  • アッパーの基本となるメッシュ部分のリサイクル率：40%以上
  • ベースライン付近での長く強力なラリーを得意とする選手に向けたオールコート用で、鋭く力強いフットワークを発揮しやすくした点が特徴。シューズの外側周囲に壁状の樹脂パーツを大きく配し、左右へ動いた際に足をしっかり支えることでパワーロスを抑制し、逆方向への力強く素早い切り返しを可能にする。足をつかむようなしっかりとしたフィット感と優れたホールド性が得られる独自構造を採用
  • 品番：1041A220（メンズ）、1042A163（ウィメンズ）
  • 価格：17,050円（税込）

いずれも、ベージュとクリームを基本にしたシンプルなデザインで、中敷にはひまわりを題材にしたサステナビリティを表す「ひまわりアイコン」が付いている。ひまわりアイコンは、将来世代にわたって人々が心身ともにより健康で前向きに成長していくことを願ったものであるとしている。中心にある2つの矢印は未来への希望と資源循環を表し、健全な心身を実現するには健やかな地球環境が必要であるという考えを表現していることを発表した。

「グローバル環境方針」を掲げる同社は、ほかにも以下のような環境への取り組みの実績・目標を発表している。

  • 2019年度、廃棄物の93.1%を再利用またはリサイクルした
  • 2020年度、事業所からの廃棄物の98%を再利用またはリサイクルすることを目標に掲げた
  • 2030年までに、石油由来のポリエステル材を再生ポリエステル材に100%切り替え
  • 2030年までに、製品あたりのCO2排出量を55%削減（SBT目標）
  • 2030年までに、事業所からのCO2排出量を38%削減（SBT目標）

同社の代表取締役社長である廣田康人氏は、「人々がスポーツを通して心身ともに健康で幸せな生活を実現するには、健やかな地球環境と社会環境が必要です。そのため、当社はCO2排出量を削減し、気温上昇を1.5℃未満に抑える取り組みをしています。現在、世界の繊維廃棄物のうち新しい服に生まれ変わるのはわずか1%のみで、アパレルの70%以上が最終的に埋め立てまたは焼却によって処分されるといわれています。今回発表したアースデーパックでのリサイクルテキスタイルの活用のように、今後もすべての製品カテゴリーで製造プロセスなどを変革し続け、サーキュラーエコノミーの構築を推進していきます」と述べている。

【プレスリリース】繊維廃棄物でできたリサイクル糸を採用したシューズ「Earth Day Pack」を発売
【参照サイト】PLANET 環境への配慮
【参照サイト】1. 廃棄物のリサイクルと回収（トン）

＊記事中の画像の出典：株式会社アシックス