リファービッシュ電子機器のマーケットプレイスを運営するBack Market Japan株式会社は2026年9月24日、日本を含む世界6か国を対象とした消費者意識調査レポート「The Smartphone Extraction Gap」の結果を発表した。調査は独立系調査会社Opiniumに委託して実施したもので、スマートフォンの製造にともなう資源採掘の実態と、それに対する消費者の認知の差を明らかにした。あわせて、スマートフォン1台の「本当の重さ」を可視化する特設サイト「Mine My Phone」を公開した。
2014年11月にフランスで設立されたBack Marketは、日本を含む世界17か国で事業を展開している。購入者には1年間の動作保証と30日間の返品保証を無料で付けており、2023年4月にはB Corp認証を取得した。同社によると、リファービッシュ品は新品と比べて、製造時の原材料と水の使用量、電子廃棄物の発生量、CO2排出量がいずれも約10分の1になる。同社はリファービッシュ品の市場拡大を通じて、環境負荷の低減を目指している。
200gのスマホ1台に約266kgの資源採掘
レポートによると、重さ約200gのスマートフォン1台を製造するには、約266kgの資源を採掘する必要がある。これは完成品の重さの1,300倍以上にあたり、その大部分は廃棄物として捨てられるという。同社は、世界の年間販売台数約12億台をもとに、スマートフォン製造のために採掘される上流資源は年間3億1,900万トンを超えると算出した。また、同社によると、スマートフォンのライフサイクル全体におけるCO2排出量の約8割は、製造前の工程で発生している。バッテリーに欠かせないコバルトの多くはコンゴ民主共和国で産出されており、同国の鉱山では6歳ほどの子どもを含む労働者が重い荷物を運び、有害な粉じんに常にさらされている。有害金属の汚染により約14億人が疾病リスクにさらされ、そのうち約2,300万人は発がん性レベルの有害廃棄物にさらされているとした。
「Mine My Phone」は、紛失したスマートフォンの位置を調べる「Find My Phone」になぞらえたプラットフォームだ。毎日使うスマートフォンがどこから来た鉱物資源で作られ、どれだけの資源が採掘され、どのような影響をもたらしているのかという「資源採掘の現在地」を知ることができる。
半数が使用鉱物資源を挙げられず、情報を知ると購入意向に変化
調査は2026年7月30日から8月12日にかけて、日本、ドイツ、フランス、スペイン、英国、米国の18歳以上各1,000人を対象にオンラインで実施した。結果は各国の性別・年齢・地域の人口構成に合わせて補正している。このほか、日本を除く5か国では定性調査もおこなった。
スマートフォンには約60種類の鉱物資源が使われているが、使われている資源の種類数を尋ねると、6割が「分からない」と回答した。使われている鉱物資源の名前を1つも挙げられない人は52%で、日本では67%と6か国で最も高かった。コバルトについても60%が、スマートフォンに使われていることを知らなかった。また、端末の素材がどこから来ているのかを調べたことがある人は31%にとどまった。調べた人のうち「十分な情報が見つかった」と答えた人は12%だった。52%は、個人の行動ではサプライチェーンを変えられないと感じていた。
利用期間については、フランス環境移行庁のデータによると実際の平均利用期間は2.5年である一方、調査で消費者が妥当と考える使用年数は平均5.9年だった。国別ではフランスが6.5年と最も長く、米国が5.1年と最も短かった。買い替えの理由は「動作が遅くなった」と「バッテリーが劣化した」がともに26%で、「最新モデルが欲しかった」は9%にとどまった。57%がソフトウェアの問題で買い替えを余儀なくされたことがあると回答し、67%がバッテリーが十分に長持ちすれば現在の端末をより長く使いたいと答えた。長く使う条件としては、10年以上のソフトウェアアップデートの保証(38%)、より安く手軽なバッテリー交換(36%)、10年間の保証(30%)が挙がった。
レポートは同庁のデータをもとに、2.5年ごとに買い替えた場合の年間の原材料負荷を106.7kgと示した。一方、同じ端末を10年間使えば、2回のバッテリー交換、1回の画面修理、1回のフルリファービッシュを含めても年間30.9kgとなり、71%削減できるとした。Back Marketは、1台のスマートフォンを10年間使い続けることで、約757kgの原材料採掘を回避できるとしている。
一方で、現在使われているスマートフォンの78%は新品で購入されたもので、認定を受けたリファービッシュ事業者から購入したものは6%だった。リファービッシュ品の購入による原材料の削減量は243kgと推計されている。調査開始時点でリファービッシュ品を購入したいと答えた人は19%だった。しかし、製造に必要な資源量や採掘にともなう社会課題に関する情報を示すと42%に上がり、要約を再度示すと49%まで増えた。また、71%が、製造に児童労働が関わっていれば新品を買う可能性が下がると回答した。リファービッシュ品を検討する理由では、58%が何らかの形でコスト面を挙げた。一方、環境によいことを動機に挙げた人は17%だった。
日本は91%が新品購入、問題意識と購買行動にずれ
日本では、前回のスマートフォンを新品で購入した人が91%にのぼり、リファービッシュ品や中古品を選んだ人は4%だった。次回も新品を選ぶ可能性が高い人は74%だった。消費者が使いこなせていない端末を開発し続けることは無駄だと50%が答え、新機能は自分にとって無駄だと53%が感じていた。それでも、実際の購買行動は新品に大きく偏っている。リファービッシュ品の購入で環境負荷が大きく減ると知れば新品購入を思いとどまるという人は、フランス・ドイツ・スペインの20%に対して日本は6%だった。どんな条件があっても10年間使い続けるつもりはないという人も21%と、6か国で最も多かった。また、日本の回答者はリファービッシュ品を高価だと考える割合が29%で、全体の23%を上回った。
66%が法制化を支持、Back Marketは10年利用を提言
素材の倫理的な調達に責任を持つべき主体としては、メーカー(49%)、採掘国の政府(34%)、販売国の政府(31%)が挙がり、消費者を挙げた人は17%にとどまった。電子廃棄物についても、消費者は適正に処理されている割合を38%と見積もった。しかし、国連機関のUNITARと国際電気通信連合(ITU)の報告によると、実際の割合は22%で、2022年には世界で53億台の携帯電話が廃棄された。
端末の耐久性や修理可能性、10年以上のソフトウェアサポートをメーカーに義務づける法律を支持した人は、全体で66%だった。国別ではフランス(73%)、スペイン(72%)が高く、日本は49%と最も低かった。Back Marketは、スマートフォンを複数の所有者のもとで少なくとも10年間使い続けることを共通の目標に掲げ、10年間の利用を前提としたデバイス基準の法制化を提言している。メーカーには、耐久性の高い設計、10年間のソフトウェアサポートの保証、修理用部品の提供を求めた。政策立案者には、修理する権利の強化と、デバイスの寿命を意図的に短くする設計や慣行の規制を求めた。
【プレスリリース】Back Market、日本を含む世界の消費者意識調査を実施。電子機器製造の資源採掘による社会課題の実態と消費者の認知差を明らかに
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