東レ株式会社は2026年9月30日、自動車部品や電気・電子部品に使われる樹脂「ポリフェニレンサルファイド(PPS)」を含む廃材から、溶媒を用いてPPSを分離・回収する溶媒マテリアルリサイクル技術を開発したと発表した。廃材に含まれるPPSを原料レベルまで分解せず、樹脂の状態のまま溶媒に溶かし、ほかの素材と分けて取り出す技術だ。同社によると、この手法による小規模な実証は業界初(2026年9月時点、同社調べ)だという。
PPSは自動車や電気・電子の分野を中心に需要が拡大している。また、欧州を中心に資源循環関連の規制が強化されるなか、自動車業界をはじめとする各産業分野では、消費者が使用した後に回収された製品や部材を原料として再利用するポストコンシューマーリサイクル(PCR)の重要性が高まっている。一方、PPSは使用済み製品から回収して再資源化する際に異物を分けることが難しく、リサイクル技術の確立が課題となっている。
PPSは薬品に強く溶けにくい性質を持つため、PPSを溶かせる溶媒はほとんど存在しない。東レは、長年培ってきたPPSの製造技術に関する知見を生かし、廃材の中からPPSだけを溶かし、再び固体に戻して取り出すことで、ガラス繊維などの副原料を含む異物の分離・除去を実現した。これにより、廃材から取り出したPPSでありながら、新品のPPSと同等の分子量と融点を保ったリサイクルPPSが得られるという。本技術では、プラスチックをいったん原料まで分解する工程がいらないため、分解してから作り直すケミカルリサイクルと比べて、使うエネルギーを減らせるうえ、異物も効率よく取り除けると東レは見込んでいる。

同社の基礎検討における試算では、本技術によるリサイクルPPSは、バージン原料を用いた同社PPSと比べて、原料製造から製品製造までの温室効果ガス排出量を約3割低減できる可能性を確認した。削減効果については、現在進めている実証検討で引き続き検証する。
東レは基礎検討を完了し、経済産業省の「令和6年度 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(産官学連携による自律型資源循環システム強靱化促進事業)」の支援を受けてスケールアップ実証を進めている。2030年をめどに有償販売を目指すとともに、自動車業界やリサイクル業界をはじめとするパートナーと連携し、PPS含有廃材の回収からリサイクルPPSの再利用までをつなぐ資源循環システムの構築を目指す。
※文中の画像はプレスリリースより引用
【プレスリリース】業界初、PPS含有廃材からPPSを分離・回収する 新たなリサイクル技術を開発
【参照記事】令和6年度「産官学連携による自律型資源循環システム強靱化促進事業」に係る補助事業者(執行団体)の公募について
【関連記事】ゴールドウイン・東レ・出光、低炭素型ナイロンサプライチェーンを構築。THE NORTH FACE製品に採用
【関連記事】酵素や微生物で複合繊維をリサイクル。帝人フロンティア、東レなど6者がバイオリサイクル技術開発で新コンソーシアム設立
