川崎キングスカイフロント東急REIホテルはこのほど、使用済みプラスチック由来の水素エネルギーを活用してホテルで栽培したリーフレタスを収穫したことを発表した。「水素×ホテル×農業」による新たな資源循環の形として提示する。

（出典：川崎キングスカイフロント東急REIホテル）

同ホテルは、昭和電工株式会社（以下、昭和電工）と川崎市が共同で取り組んでいる環境省の「地域連携・低炭素水素技術実証事業（※1）」に協力し、ホテル内の約30%のエネルギーを水素で賄う「世界初の水素ホテル（※2）」だ。使用済みプラスチックを原料に、川崎区の昭和電工川崎事業所で作られた低炭素水素がパイプラインで供給され、純水素型燃料電池でホテルの電気と熱（温水）に変換されている。

2020年11月24日に同ホテルは、新たな実証事業として当該燃料電池から得た電気を活用した「植物工場」を開設した。リーフレタスを栽培するLED照明を使用した植物育成装置を設置し、これまでホテル内の照明や客室への温水供給に利用されていた水素エネルギーの供給を開始した。同装置は最先端の高速栽培法を採用しており、レタスは通常の栽培法に比べて早く大きく育ち、作付面積3平方メートルで1日8～12株を収穫できる。

（出典：川崎キングスカイフロント東急REIホテル）

育苗から30日後の12月24日、報道関係者向けに「初収穫祭」を開催し、獲れたてのリーフレタスを使った料理を提供した。報道関係者は、家庭から排出された使用済みプラスチックが水素にリサイクルされ、野菜に還元される「資源循環の仕組み」を体験した。同ホテルは、高速栽培法で栽培したレタス「TSX翔1」はビタミンが豊富で、ほのかな甘みが特徴であるとしている。2021年からは、ホテル内のレストラン「Captain’s Grill and Bar」で同レタスを提供する予定で、今後はハーブや食用花も栽培していく意向だ。

※1：環境省の低炭素水素のサプライチェーンモデル構築の実証として、川崎市や周辺地域の家庭から回収された使用済みプラスチックを原料に、昭和電工川崎事業所にて低炭素水素へリサイクルし、2017年から燃料電池自動車用に、2018年からはホテルへ供給している。今回これに加え、燃料電池の負荷を追加するとともに、将来の水素社会における水素の利用先として、植物の育成を通じて新たな用途展開を検討するため、完全人工光型植物工場を設置した。

※2：川崎キングスカイフロント東急REIホテルでは、家庭から回収されたプラスチックをリサイクルした水素をエネルギーとして活用し、さらに野菜として還元する資源循環型のモデルを実証している。同ホテルは、宿泊客が泊まるだけでこうした仕組みを体感できる「世界初の水素ホテル」として、新たな価値を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していく意向だ。

【プレスリリース】使用済みプラスチック由来の水素エネルギーを活用してホテルでレタスを栽培　「初収穫祭」を開催しました
【参照サイト】平成27年度地域連携・低炭素水素技術実証事業の採択案件について（お知らせ）
【参照サイト】水素ホテル
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