CDPとは?
CDPとはロンドンに本拠を置くNPO団体CDP(Carbon Disclosure Project)が運営する、企業や自治体などが環境への影響を管理するための国際的開示システムプロジェクトのこと。長期的に繁栄できる経済構築の支援を目的として、気候変動と水の安全、および森林破壊の3分野について評価を行っており、企業や自治体などの行動に関する最も包括的な環境報告の一つである。
現在、90カ国以上の企業と自治体が毎年CDPを通じて情報を開示しており、2000年のプロジェクト開始以来、9,600社以上の企業と800以上の都市、および120以上の州と地域がCDPを通じて情報開示を行った。
CDPの仕組み
企業や自治体は、CDPの以下の3つのシステムにより、環境への行動に寄与できる。
- 開示:企業はCDPが毎年実施するアンケートに回答するか、サプライチェーン企業に開示を求め、自治体は自らの意思でアンケートに回答する
- 洞察:CDPの報告を通して、企業や自治体の環境への影響を洞察する
- 行動:環境への行動に貢献すると考えられるイニシアチブやプログラムを見つけて、行動を起こす
CDPで情報開示を行う利点
企業と自治体がCDPで情報開示する利点は、以下の通りである。
企業
- 企業の評判の保護および改善:透明性を通じて信頼を構築し、人々の関心が高まっている環境問題に対応できる
- 競争上の優位性向上:株式市場パフォーマンスと資本へのアクセス、および入札での受注獲得において競争力をつけられる
- 規制への準備:義務付けされる可能性のある環境報告規則などに準備できる
リスクと機会を明確化:新たな環境リスクと機会を特定して、データ主導の戦略情報を提供できる - 進捗状況の追跡と評価:同業他社に対して環境パフォーマンスのベンチマークを行い、毎年進捗状況に関するフィードバックを受け取れる
環境開示に対する市場の需要は高く、成長している。2020年には資産106兆ドル(約1京円)の投資家515人と、購買支出4兆ドル(約419兆円)を超える147人以上の大口購入者が、CDPを通じて環境データを開示するように数千の企業に求めた。
自治体
- 他の自治体に対して環境パフォーマンスのベンチマークを行い、機会を示唆する
- CDPの分析ツールとガイダンスをワークショップや文書などに利用できる
- 自治体が提供したデータは、IPCC第5次評価報告書やC40(世界大都市気候先導グループ)の研究、投資家や学者、およびCDPの報告書などに使用されることから、他機関に貢献できる
- CDPを通じて投資家や国際的な財政機関とつながれるとともに、同じ地域で開催されるグローバルネットワーキングイベントなどにも参加できる
これらの利点などにより、CDPで開示した40%の自治体がCO2排出削減目標を達成している。
CDPは、人々と地球のための長期的な経済の繁栄を目指して、情報開示を通じて投資家と企業、および自治体が自身の環境影響を認識し、真に持続可能な経済を実現すべく行動を起こすことを促している。
【参照サイト】CDP
(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「CDP」を転載しております。)