世界経済フォーラムは10月13日、コンサルティング大手のカーニーと共同で、企業の最高調達責任者(CPO)向けの実践的な手引き「グリーン調達プレイブック(Green Procurement Playbook: The CPO’s Guide to Delivering Value for Business and Planet)」を発表した。多くの産業で温室効果ガス排出量の9割以上を占めるサプライチェーンからの排出削減に向け、調達部門が果たすべき戦略的な役割と具体的な行動を提示している。
本報告書は、運輸、飲食、資本財、建設といった多くのセクターにおいて、企業のサプライチェーンにおける間接的な排出量である「スコープ3」が、温室効果ガス総排出量の90%以上を占めると指摘する。これは、自社の直接排出(スコープ1)やエネルギー使用に伴う間接排出(スコープ2)以外の排出を指す。
特に上流に位置する商品の購入やサービスの調達活動が大きな割合を占めており、調達部門が脱炭素化の鍵を握るとした。グリーン調達は、環境負荷の低い製品やサービスを優先的に購入する取り組みであり、製品のライフサイクル全体での環境負荷を低減し、資源を循環させるサーキュラーエコノミーへの移行においても中心的な役割を担う。
今回発表されたプレイブックは、100人以上の専門家や先進企業の知見を基に作成された。まず、企業が優先的に取り組むべき領域を特定するためのアセスメントツールを提供。その上で、サプライヤーとの協働、ガバナンス、データ活用、組織の能力構築など、事業価値を損なうことなく持続可能性を実現するために不可欠な8つの構成要素を特定し、具体的な実践方法を解説している。
世界経済フォーラムは、調達を企業の戦略的アジェンダに位置付けることで、CEOは気候目標の達成を加速し、サプライチェーンのリスクを低減し、事業の将来性を確保できると強調。「持続可能性を個別のプロジェクトとしてではなく、事業全体の意思決定プロセスに組み込んでいる企業ほど、迅速な変革を遂げている」とした。
【参照レポート】Green Procurement Playbook: The CPO’s Guide to Delivering Value for Business and Planet
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