カーボンポジティブとは
環境化学用語で、温室効果ガス(特にCO2)を削減した際、ライフサイクル全体をみて、排出される量より吸収できている量が多くなっている状態。
何らかの製品を購入したりサービスを受けたりする際、CO2排出量がプラスマイナスゼロの場合は「カーボンニュートラル」と呼ぶ。これに加え、さらにプラスのCO2吸収ができている場合「カーボンポジティブ」と言うことができる。
※マイクロソフト社のように、カーボンポジティブと同様の状態を「カーボンネガティブ」と呼ぶ事例もある
カーボンポジティブが重視される理由
なぜカーボンニュートラルではなく、さらに吸収量を増やしたカーボンポジティブまで踏み込む必要があるのか。ここには、国際目標の期限が迫る中でCO2排出量の削減を加速させる必要に迫られている背景がある。
パリ協定により示された、世界の平均気温の上昇を1.5度にとどめることを目指す「1.5度目標」。これを達成するには、2050年までにカーボンニュートラルを達成することが必要であると指摘されてきた。
しかし、2022年に開催されたCOP27ではその目標に到底及ばない現状が浮き彫りに。今後のCO2排出をカーボンニュートラルによって相殺するだけでは不十分な可能性が高いことから、カーボンポジティブも重視する声が強くなっている。
カーボンポジティブに取り組む企業
「カーボンポジティブ」という言葉は2015年ごろから、企業の方針や製品説明などに出てくるようになった。
2015年11月には消費財大手のユニリーバが、同社の気候変動に関する目標として2030年までにカーボンポジティブを達成すると発表。具体的には、世界中の全事業所で使用する電力を100%自然エネルギーに切り替え、さらに実際に使う量よりも多くの自然エネルギーの発電を支援することで、社外の人々にも自然エネルギーを使ってもらうかたちにしたい、とウェブサイトで発表 している。
2018年にはスウェーデンを中心に、北欧、中東などに店舗があるハンバーガーチェーン「MAX Burgers 」が、自社の50周年記念としてカーボンポジティブ(クライメートポジティブ)なハンバーガーを売りだした。
2019年10月には、アウトドアメーカーのパタゴニアが、2025年までにリサイクルした原料や再生可能な原料のみを使用することを決定。こうした取り組みを通じ、カーボンポジティブを目指す、と宣言した。
2019年11月には、家具大手のイケアが、カーボンポジティブに向け240億円の投資を決めた、と発表。この予算は、森林再生や持続可能な森林の管理に使われるという。
また、マイクロソフト社も2030年までにカーボンポジティブ(同社はこれを、同じ意味だが別の表現として「カーボンネガティブ」と表記)を目指すことを、2020年1月に発表している。
カーボンポジティブの今後
言葉としては比較的新しい言葉だが、カーボンポジティブは、カーボンニュートラルよりさらに進んだ気候変動対策として、注目が高まっている。
カーボンポジティブは、企業活動だけでなく個人の生活でも実現可能だ。例えば家を建てる際に太陽光パネルを屋根に取り付け、家庭で使う以上のエネルギーを発電し、余剰分を販売すれば「カーボンポジティブ」の状態だと言える。
現在は、特に環境問題に熱心な企業や個人が実践している活動だが、環境問題、気候変動対策が待ったなしの状況にある。今後、より多くの企業や個人が、カーボンポジティブを目指す流れになる可能性は大いにあるだろう。
【関連ページ】カーボンニュートラル
【関連ページ】カーボンネガティブ
【参照サイト】Climate-positive Burgers(MAX burger)
【参照サイト】自然エネルギーへの取り組み(ユニリーバ)
【参照サイト】How We’re Reducing Our Carbon Footprint(パタゴニア)
【参照サイト】サーキュラー&クライメット ポジティブ(IKEA)
【参照サイト】Microsoft will be carbon negative by 2030(マイクロソフト社)
【参照サイト】Why carbon positive?(CitySwitch)
【関連記事】
(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「カーボンポジティブ」を転載しております。)
