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パリ協定とは・意味

パリ協定とは

2016年11月4日に発効された、2020年以降の温室効果ガス排出量削減に関する国際的な枠組み。1994年に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が発効されて以来、温室効果ガスの安定化と気候変動の悪影響を防ぐために締約国会議(COP)が毎年開催されており、パリ協定は2015年の第21回締約国会議(COP21)で採択された。現在は187の国と地域が批准批准している。

パリ協定の主な内容

  • 産業革命以前と比較して平均気温の上昇を2度より低く抑えること、そして1.5度以内に抑える努力を続けることを目標とする
  • 2020年以降の世界の温室効果ガス削減等のために、先進国、途上国の区別なく、各国が気候変動対策の行動をとる。全ての国が各々の国情に合わせ、温室効果ガス排出量削減・抑制目標(NDC)を策定する
  • 透明性を高めるため、5年ごとに温室効果ガス排出量と活動状況を事務局に提出し、レビューを受ける。更新の際は、より高い目標に更新する
  • 目標を達成するため、適切な財務資源の活用、新しい技術の開発と移転、各国の能力向上を行う。先進国は途上国が各々のNDCを達成できるよう支援をする
  • 気候変動への対応として、温室効果ガス排出量削減のためのエネルギー政策といった「緩和策」だけでなく、既に起きている気候変動下での備えや対応としての「適応策」の両方を検討する

京都議定書の後継として

京都議定書は、パリ協定以前、つまり2020年までの温室効果ガス排出量削減目標のための枠組みとして、1997年のCOP3にて採択され、2005年に発効された。発効時点での署名国数は192カ国である。

京都議定書では、2008年から2012年の第一約束期間の温室効果ガス排出量を少なくとも5%削減するという目標を掲げており、主に先進国に削減目標が割り振られていた。これは「地球温暖化の問題の責任は全世界共通だが、その主な原因となった国々が削減責任をまず負うべき」という「共通だが差異のある責任」という考えに基づくものだ。

また、クリーン開発メカニズム(CDM)という、先進国が途上国の温室効果ガス削減のために資金や技術支援を行った場合に両国で削減効果を分配できる仕組みも、メカニズムの一つとして盛り込まれた。

しかし幾つかの課題もあった。中国やインドのように、温室効果ガス排出量が増えつつあった新興国に対して排出抑制が設けられなかったこと、また主要排出国であるアメリカが京都議定書に参加しなかったことから、有効な温室効果ガス排出量削減対策を取ることが難しくなったのだ。また、2012年には批准国であったカナダが離脱し、さらに京都議定書の第二約束期間にあたる2013年から2020年の枠組み検討では、COP内で意見が纏まらず、発効に必要な締結国数が足らないために未発効となった。

このように温室効果ガス削減のための国際的な枠組み作りの難しさが浮き彫りとなる中、京都議定書に代わる新しい条約として期待されているのがパリ協定である。先進国、途上国に関わらず全ての国が自主的に目標を設定し、実行状況について定期的にモニタリングを受け透明性を高めることで、各国が温室効果ガス削減のための行動を起こしやすくなることが求められている。

パリ協定に向けた現在の動き

2019年9月23日、アントニオ・グテーレス国連事務総長の呼びかけで国連気候行動サミットが開催された。各国のリーダーは2020年までに各国の具体的な計画を提出するよう求められ、サミットでは65カ国が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを約束し、70カ国が2020年までに自国の行動計画を強化予定、もしくはすでに強化を始めていることを発表した。

民間セクターでも、時価総額で計2.3兆米ドル(約230兆円)を超える大企業87社や、世界の銀行セクターの3割にあたる130行が、パリ協定の目標に沿ったビジネス行動を起こすことを約束した。

一方、気候変動に懐疑的な姿勢を取るトランプ大統領政権下のアメリカは、パリ協定からの離脱を表明している。これに対して民主党の議員グループは、グリーンニューディール政策という温室効果ガス排出ゼロを目指した気候変動政策を国内で提案している。実現に向けた資金調達や技術的な難しさが指摘されるも、2020年の大統領選挙の争点の一つになるとも言われている。

【参考資料】United Nations/Summary of the Paris Agreement

(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「パリ協定とは」を転載しております。)

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