ソーシャルインパクトボンドとは?
ソーシャルインパクトボンド(以下、SIB)とは、民間団体が投資家から調達した資金をもとに公共サービスを提供し、その成果に応じて政府や自治体から報酬が支払われて投資収益に反映されるスキームだ。
SIBによって、政府や自治体、投資家にメリットがある。政府や自治体のメリットはサービスのコスト削減や先進的な事業への投資ができたり、多セクターのノウハウを活用した市民へのサービス提供が行えることだ。投資家のメリットは、社会的な活動に関わりながら利益を追求できるというものだ。
ソーシャルインパクトボンドの仕組みは?
SIBは通常の官民連携や民間企業への事業委託、成果報酬型デルとは異なり、多くのステークホルダーが関わることが特徴だ。通常、民間事業者が公共サービスを提供する場合は、行政・事業者・受益者の3者の関係が中心だ。しかしSIBの場合は、ここに民間投資家、中間支援機関、評価機関の3者が加わる。
事業者は民間投資家から事前に資金を調達し、それを元手に行政に代わって受益者にサービスを提供する。その後、提供されたサービスの効果を独立した評価機関が評価して行政に報告する。サービスの効果を定量的に評価し、事前に決めていた数値目標の達成度合いに応じて行政が成果報酬を支払い、その一部が投資家の収益になるという仕組みだ。中間支援団体は、この複雑なスキーム全体の進行を調整する役割を担う。
行政は従来かかっていたコストを削減し、削減分の一部を成果報酬として支払うことになる。これによって、公共サービスのコストカット、成果追及の促進、民間からの資金調達が可能になることが大きなメリットだ。
ソーシャルインパクトボンドの事例
最初のSIBは2010年にイギリスで、再犯防止プログラムの実施時に組成され、その後EUと米国を中心に件数が増加している。日本でも2015年に、行政による成果報酬の代わりに、日本財団の助成で成果報酬を賄う形で特別養子縁組に関するパイロットプロジェクトが開始された。その後、がん検診受診率向上、糖尿病予防、若者就労支援、コミュニティビジネス起業支援などの分野での導入が開始している。
【参照サイト】OECD-ソーシャルインパクトボンド
【参照サイト】総務省-ソーシャルインパクトボンド
【参照サイト】厚生労働省-政策情報
(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「ソーシャルインパクトボンド」を転載しております。)