社会的責任投資(SRI)とは
SRIはSocially Responsible Investmentの略で、日本語では「社会的責任投資」と訳されている。従来の投資は、企業の成長性や財務的な側面を基準に投資先を決めている。これに対してSRIは、企業として社会・倫理的な面から見て、社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たしているかどうかも考慮して投資先を選ぶ。
社会的責任投資(SRI)の歴史
SRIが始まったのは、1920年代のことだ。アメリカで、キリスト教の教会が資産運用の際、倫理の観点から武器、ギャンブル、タバコ、アルコールなどに関わる企業に投資しないように決めたことが始まりだと言われており、それが欧米を中心に世界に広まっていった。
その後、1990年代に入ると環境問題への関心がそれまで以上に高まり、環境問題に特化したSRIが拡大した。1990年代後半には環境・経済・社会の3つの側面(トリプルボトムライン)を考慮した経営をおこなう必要があるという考えが広まり、これらに配慮している企業に投資する形のSRIが次々とスタートした。
2000年代に入ると環境・社会への影響にも配慮した企業に投資しよう、という動きがさらに加速。2006年には、当時の国連事務総長コフィー・アナン氏が、金融業界に対して責任投資原則ガイドライン(PRI:Principles for Responsible Investment)を発表。機関投資家を中心とした投資コミュニティに対し、環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)に配慮する企業を選んで投資するよう呼びかけている。これらは頭文字をとってESGと呼ばれ、ESGにしっかり配慮している企業への投資はESG投資と呼ばれている。
なお、日本では、1999年に環境問題への対処を考慮した金融商品「日興エコファンド」が日興證券から発売されたのが、日本初のSRIだと言われている。
社会的責任投資(SRI)とESG投資の違い
SRIとESG投資は、ほぼ同義として使われることが多いが、流れとしてはSRIという言葉が1920年代から使われ続ける中、2000年代から環境、社会、ガバナンスに配慮する企業へ投資することを呼びかけるESG投資が台頭し、盛んになっていった。SRIもESG投資も社会、倫理的な面を重視している点が似ており、ほぼ同じ意味として使われている。
社会的責任投資(SRI)の今後
2000年代に入ってから、社会・環境を配慮した経営のキーワードとしてESGへの関心が高まり、多くの企業がESGに配慮した経営を目指している。その結果、ESG投資をおこなう投資家も増えている。SRIも健在だが、現在はESG投資への注目度のほうが高くなっているので、社会・環境への配慮を考えた投資は全体として増えていくものの、SRIがおこなわれる回数やSRIという言葉を聞く回数は、少しずつ減っていくかもしれない。
【参照サイト】日本サステナブル投資フォーラム
【参照サイト】Global Sustainable Investment Alliance
【関連ページ】ESG投資
【関連ページ】インパクト投資
(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「社会的責任投資(SRI)」を転載しております。)