環境省は2026年9月29日、消費者庁と共同で公募した令和8年度「食品ロス削減推進表彰」の受賞者を決定したと発表した。同表彰は、食品ロスの削減に効果的で波及効果が期待できる優良な取組を両省庁が連携して表彰し、国民運動として食品ロス削減を推進することを目的としている。両省庁の合同開催は今回で5回目となる。
今回は2026年5月29日から7月31日までの募集期間に計60件の応募があった。審査委員会での審議を経て、計17点が選ばれた。内訳は、環境大臣賞1点、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞1点、環境事務次官賞2点、消費者庁長官賞2点、消費者庁次長賞2点、食品ロス削減推進表彰審査委員会委員長賞4点、同特別賞5点である。
環境大臣賞を受賞したのは、公益財団法人福岡市学校給食公社の「学級閉鎖・一斉休校に伴うフードロス(未利用食材の廃棄)削減!市民向けパン販売!」だ。同公社は給食の食品ロス対策として献立調整やフードバンクへの譲渡などを行っている。しかし、学級閉鎖や一斉休校で給食用パンが急に提供できなくなった際、パンは製造を急に止めることが難しく、消費期限も短いため、従来は廃棄するしかなかった。そこで市やパン製造業者などと連携して販売許可を取得し、回収したパンを当日に市民向けに販売できるようにした。パンは複数個を袋詰めし、原材料や期限を表示したうえで1袋100円で販売している(2026年9月現在)。売上は食材購入費に充て、市費負担の軽減にもつなげている。2021〜2025年度には販売会を325回開催し、約24.5万個のパンの廃棄を防いだ。審査では、この実績に加えて他地域への波及が期待される点が高く評価された。
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)賞は、特定非営利活動法人ジャパンハーベストの「焼きたてパンや冷蔵食品を即日届ける食品ロス削減・食育・地域循環モデル」が受賞した。同法人は、欧米で広く実践されている「フードレスキュー」の考え方をもとに活動している。食品事業者やホテル、農業者、小売店などと連携し、焼きたてパン、野菜・果物、牛乳や納豆などの冷蔵食品を、倉庫を介さず即日回収・即日配送する仕組みだ。これにより、従来は食品ロスになりやすかった生鮮食品や冷蔵食品の活用を実現した。大阪・関西万博の海外パビリオンから提供された食品を地域へ届ける取組も行った。さらに、こどもたちが調理を体験する「エコキッチン」を通じて、食品ロス削減と食育を一体的に進めている。食品ロス削減への貢献実績や継続性が高く評価された。
消費者庁長官賞は、食品ロス削減プラットフォーム『WeSupport Family』と株式会社ローソンの「FOOD GOOD SMILE」が受賞した。『WeSupport Family』は、企業の余剰食品や防災備蓄品などを支援団体を通じて必要とする家庭へ届けるもので、2021年12月の活動開始以来、累計800トン超の食品を再流通させた。ローソンは、全国約14,000店舗でAIによるダイナミックプライシングと自動発注システムを導入し、廃棄削減と食支援を同時に実現している。
環境事務次官賞は、株式会社ファミリーマートと株式会社一の坊が受賞した。ファミリーマートは、消費期限が迫った中食商品の値下げシールを「涙目シール」に変更し、導入から1年間で約2,500トンの食品ロス削減を達成した。一の坊は、3つの温泉リゾートで注文分だけを調理する「オーダービュッフェ」を導入し、約36%の食品ロス削減を実現した。
このほか、消費者庁次長賞にはヨシケイグループとロスヘルが選ばれた。審査委員会委員長賞は、公益財団法人日本フードバンク連盟、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社、能美防災株式会社、国立大学法人岡山大学の4点である。審査委員会特別賞は、江戸川学園取手中・高等学校調理同好会、フードバンク彩鳥、岐阜県立岐阜農林高等学校食品科学科食品乾燥班、柚香をもう一度文化にするプロジェクト、パナソニック株式会社の5点となった。
審査委員会委員長は講評で、食品ロス削減の取組が多様化していることに触れた。その中で、定量的な成果に加えて、社会への波及、さまざまな主体との連携、将来の展開可能性など、評価すべき側面も広がっていると述べた。一方で、客観的な成果や定量的な効果を示すデータの提示が少ない事例も見られたとし、今後は客観的な裏付けの工夫を期待するとした。
表彰式は、2026年10月30日に栃木県那須塩原市で開催される「食品ロス削減全国大会 in 那須塩原」のプログラムの一つとして実施される予定だ。環境省は、受賞者の取組詳細を後日、食品ロスポータルサイトに掲載するとしている。
【参照記事】令和8年度「食品ロス削減推進表彰」受賞者決定について
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