米国下院の超党派議員グループは2月4日、リユースおよび詰め替えシステムの普及に向けた連邦政府の関与を強化する「REUSE Act(Research for Environmental Uses and Sustainable Economies Act)」を下院エネルギー・商業委員会に提出した。2025年11月には上院を全会一致で通過しており、今回、下院での審議段階に入った。

同法案は、これまでリサイクルを中心に構築されてきた米国の廃棄物政策に対し、「リユース」に関する連邦レベルでの制度設計を進める契機となる可能性がある。

EPAにリユース・詰め替えに関する報告書作成を義務付け

REUSE Actの柱は、米国環境保護庁(EPA)に対し、リユースおよび詰め替えシステムに関する包括的な報告書の作成を義務付ける点にある。

報道および議会情報によれば、報告書には、再利用・再充填システムに関するデータ収集が盛り込まれ、消費者向け包装や個人用品、卸売物流など複数の分野が対象となる見込みだ。また、地方・州・連邦レベルでリユースおよび再充填を推進するために必要な支援についてのガイダンスをEPAが示すことも想定されている。

現時点で数値目標や義務的な導入基準を定める内容ではないが、連邦レベルでリユースに関する体系的なデータ整備と政策的検討を行う点に意義がある。州ごとに制度や解釈が異なる米国において、基礎的な情報基盤を整えることは、将来的な制度調和やインフラ投資の議論の土台となる可能性がある。

超党派合意の背景

法案は民主党のジョー・ネグース議員、共和党のバーン・ブキャナン議員らが主導している。環境政策を巡る党派対立が続く中、上院で全会一致により通過した点は注目される。

背景には、リサイクルのみではプラスチック汚染や廃棄物増加の抑制に十分対応できないとの認識の広がりがある。リユースは環境対策に加え、廃棄物処理コストの削減や資源の国内循環強化といった経済的合理性の観点からも支持を得ているとみられる。

国際海洋保全団体Oceanaが2025年2月に公表した調査では、米国有権者の約85%がリユース可能な包装や食器の拡大を支持していると報告されている。党派を超えた世論の後押しも、政策議論を後押ししている。

日本企業への示唆

今回の動きは、米国市場で事業を展開する日本企業にとっても注視すべき動向だ。

本法案は現時点では調査・報告義務を定めるものであり、具体的な規制や基準を導入するものではない。しかし、連邦レベルでリユースおよび再充填システムの実態把握と政策的整理が進めば、将来的に設計基準やインフラ整備に関する議論が具体化する可能性がある。

特に、回収・洗浄・再充填を含むリバースロジスティクス体制の構築は、従来の「販売して終わり」のモデルとは異なる事業構造を求める。連邦政府による政策支援やインフラ整備が進めば、現地パートナーとの連携や回収ネットワークへの参画が競争条件となる可能性もある。

欧州では包装・包装廃棄物規則(PPWR)によりリユース目標の導入が進んでいる。米国はまず制度設計とデータ整備から着手する段階にあるが、グローバル企業にとっては、使い捨てを前提としないビジネスモデルへの移行を見据えた戦略検討が求められそうだ。

【参照サイト】REUSE Act heads to US House for consideration
【参照サイト】Congress.gov (H.R.7370)
【参照サイト】Congress.gov (S.2110 – REUSE Act of 2025)