サーキュラー・アドバンテージとは?
一言でいうと、サーキュラーエコノミー(循環型経済)のビジネスモデルをいちはやく確立した企業が競争で優位に立つということ。総合コンサルティング会社のアクセンチュアが、2015年の著書『Waste to Wealth: The Circular Economy Advantage(無駄を富に変える:サーキュラー・エコノミーで競争優位性を確立する)』の中でサーキュラー・アドバンテージを提唱し、この考えが世界に広まった。
同社によると、このまま大量生産・大量消費型のビジネス形態が続いた場合、経済損失額は2030年時点で4.5兆ドル、2050年時点では25兆ドルに達するという。なお、最近では世界の消費者の意識も変わってきており、よりサステナブルな商品・事業への投資が盛んになってきている。
今の時代、サーキュラーエコノミーに取り組めば「先進的」だと言われ、逆に取り組まないことはリスクとなりえる。「このビジネスは儲かるのか儲からないのか」という短期的な利益ではなく、長期的に考えたときに自らのためになる。だからこそ世界の企業は、循環する経済に向けて動き出しているのだ。
サーキュラーエコノミーのモデル
アクセンチュアによると、サーキュラーエコノミーには、既存のビジネスモデルから5つのビジネスモデルへの移行が必要だと言われている。
- 再生型サプライ:繰り返し再生し続ける100%再生/リサイクルが可能な、あるいは生物分解が可能な原材料を用いる
- 回収とリサイクル:これまで廃棄物と見なされてきたあらゆるものを、他の用途に活用することを前提とした生産/消費システムを構築する
- 製品寿命の延長:製品を回収し保守と改良することで、寿命を延長し新たな価値を付与する
- シェアリング・プラットフォーム:Airbnb(エアビーアンドビー)やLyft(リフト)のようなビジネス・モデル。使用していない製品の貸し借り、共有、交換によって、より効率的な製品/サービスの利用を可能にする
- サービスとしての製品(Product as a Service): 製品/サービスを利用した分だけ支払うモデル。 どれだけの量を販売するかよりも、顧客への製品/サービスの提供がもたらす成果を重視する。(※ 無駄を富に変える:サーキュラー・エコノミーで競争優位性を確立する より引用)
消費と生産を繰り返していた企業が、これらのビジネスモデルに移行するためには、モジュラー・デザインや、リサイクル技術、トレース&リターンシステム、M2Mコミュニケーション(Machine to Machine 機器間の通信)など、テクノロジーの活用が欠かせない。
アクセンチュアの戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクターの朝海伸子氏は次のように述べる。「従来の『モノ売り』から『コト売り』を中心としたビジネスへの転換を目指す企業は、どの領域で、どのようなサービスを展開するのかといったことを慎重に見極め、それらを実装していく必要があります。サーキュラー・エコノミーは資源輸入国である日本にとって今後の持続的な経済成長の糸口となり得るものであり、グローバルな舞台で日本がリードするべき領域なのです。」
そう、今まさに世界では単にモノをつくって売るのではなく、モノへのアクセスを提供したり、モノの価値を最大限発揮したりするようなビジネスモデルが求められている。特に、モノの価値を発揮することはカギとなるだろう。現在、特に活用されることのなかった空き家や、タンスの奥に眠っていて使われていない服、生産したはいいが三分の一以上廃棄される食品など「無駄」が多いのだ。それを「価値あるモノ」にしていくことで、日本そして世界に先駆けることができる。
【関連ページ】サーキュラーエコノミーとは・意味
(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「サーキュラー・アドバンテー」を転載しております。)