SDGsウォッシュとは?
SDGsウォッシュ(SDGsウォッシング)とは、国連が定める17の持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいるように見えて、実態が伴っていないビジネスのことを揶揄する言葉。実際はそうでないにも関わらず、広告などで環境に良いように思いこませる「グリーンウォッシュ」が元になっている。
たとえば、事業の内容に直接関係のない「グリーンなイメージ(自然の写真や、緑色の包装など)」を使う石油企業や、衣服の製造過程で通常よりも多くのCO2を出すにも関わらず、「天然」または「リサイクル素材」でつくられている、と良い面だけをアピールするファッションブランド、そして、海洋生物を守っているとアピールしながら、自社の東南アジア支社にいる従業員には低賃金で強制労働をさせるグローバル企業などが当てはまる。これらはすべて、上辺だけのSDGsだ。
企業の多くは、自社のCSR(社会的責任)活動を報告する「CSR・サステナビリティレポート」または「統合報告書(アニュアルレポート)」を発行するが、近年はSDGsに言及することが求められるという。なので、とりあえず会社が前から行っていた事業に17の目標のアイコンをつけて「私たちはSDGsに取り組んでいます!」とアピールする企業も多い。
世界中で1400を超える企業を調査した、英リサーチ&カンファレンス大手Ethical Corporationのレポートによると、企業の回答者のうち3分の2以上が、自社がSDGsを事業戦略に入れていると発表している。しかし、明確な目標を設定し、SDGsが部署のなかでしっかりとビジネスに落とし込まれているのはわずか12%であった。
「SDGsウォッシュ」を避けるためには
では、自社のビジネスがSDGsウォッシュにならないためにはどうするべきか。電通が発行する「SDGsコミュニケーションガイド」では、SDGsウォッシュを避けるための4項目が書かれている。
- 根拠がない、情報源が不明な情報を避ける:根拠となる情報の信頼性が希薄な場合、あるいは検証材料がない場合
- 事実よりも誇張した表現を避ける:それほどでもないSDGsへの取り組みを大きく強調して訴求したり、小さな取り組みを大げさに取り上げる場合。法律で規制されている事項を、自主的に配慮しているように表現す場合
- 言葉の意味が規定しにくいあいまいな表現を避ける:言葉の意味が規定しにくく、SDSsへの対応の具体性に欠けるコピーワークなど
- 事実と関係性の低いビジュアルを用いない:SDGsへの配慮の事実がないにもかかわらず、「貧困」「教育」等の写真でSDGsイメージの付与・増幅を狙うことなど
消費者としては、グリーンウォッシュの時と同じく、企業が謳う「SDGsに取り組んでいます」という言葉に安易に飛びつくのではなく、情報が第三者期間によって評価されているかどうか、透明性があるかどうか、企業は一貫した情報を発信しているかどうか、などを見極めることが重要だ。
SDGsウォッシュという言葉が出てきたことは、情報を受け取る側の意識の向上を意味することにもなる。上辺だけでない、本当に持続可能なビジネスを行う企業が評価される時代になってきているのだ。
【参照サイト】電通 – SDGsコミュニケーションガイド
【参照サイト】持続可能な開発目標(SDGs)とは・意味
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(※こちらの記事は、IDEAS FOR GOODの用語集「SDGsウォッシュ」を転載しております。)