ドイツの化学大手BASFとフィンランドの製紙大手UPMはこのほど、リサイクル可能な紙ベース包装材の普及加速に向けた戦略的提携を発表した。UPMの高機能包装用紙と、BASFの水性高性能バリア樹脂「Joncryl® HPB」を組み合わせることで、従来のプラスチックやポリエチレンラミネート包装に代わる、新しい循環型包装の開発を目指す。食品や日用品に求められる高い保護性能を維持しながら、使用後のリサイクルを可能にする狙いだ。両社が共同開発した試作品は、2026年5月にドイツ・デュッセルドルフで開催される包装業界の国際展示会「interpack 2026」でお披露目された。
欧州では現在、包装・包装廃棄物規則(PPWR)をはじめとする包装廃棄物削減に向けた規制が強化されている。これに伴い、包装業界では設計の初期段階から回収・再資源化を見据える「デザイン・フォー・リサイクリング(リサイクルを考慮した設計)」の導入が不可欠となっている。今回の両社の提携は、紙素材と特殊コーティング技術を最適に組み合わせることで、環境負荷の低減と実用性能をいかに両立させるかを示す先進的な事例といえる。
共同開発により、両者の技術が融合された。UPMが提供する「UPM Solide Lucent」や「UPM Asendo」は、印刷や加工に適した高機能包装紙であり、厳しい衛生・安全基準が求められる食品包装向けに設計されている。一方、BASFの「Joncryl® HPB」は、水分や酸素、油分の透過を防ぐバリア性を担保する水性コーティング技術である。
従来の食品包装では、品質保持のためにプラスチック層を厚くラミネート(複合)するのが一般的であり、これが製紙工程での分離を妨げ、リサイクルを困難にする一因となっていた。これに対し、今回の共同開発では、紙と水性コーティングを最適に融合させることで、バリア性能を維持したまま紙処理の流れにおけるリサイクルが可能な包装材への転換を目指している。
現在、ブランド企業や包装加工業者の間では、持続可能な包装への需要が世界的に急増している。両社はサプライチェーン全体と連携しながらこの転換を主導していく構えで、新素材は食品・非食品を問わず幅広い用途に対応し、厳格化する規制要件にも適合する見込みだ。
すでにUPMの包装紙は、欧州製紙産業連盟(CEPI)の基準を満たし、高いリサイクル性を持つことが認証されている。また、BASFのJoncryl® HPBについても、製紙プロセスにおいて紙のリサイクル性を阻害しないことが確認されており、現在は包装全体としての第三者認証の取得に向けて評価が進められている。
【参照記事】UPM and BASF accelerate the transition to recyclable, fiber-based packaging
【関連記事】BASFら4社、ケミカルリサイクルポリアミドで食用油容器を開発へ。日本初の複合包装材循環モデル目指す。
【関連記事】「禁忌品」の紙コップを資源に。王子HDが東京23区でマテリアルリサイクルのプラットフォームを構築
【関連記事】実は、循環素材の優等生。段ボールを社会変容の「手段」に変える洛西紙工【京都CE特集】





