英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)は11月、循環型経済に関する貿易フローやトレンドの分析を可能にするオンラインツール「circulareconomy.earth」を立ち上げた。

circulareconomy.earthは国連の国際商品統計データベースComtradeをもとに構築され、循環型経済において重要な資源に焦点を当てている。チャタムハウスの事業「Building Transformative Alliances for an Inclusive Global Circular Economy(包括的グローバル循環型経済のための変革的連携協定の構築)」の一環として実施され、スイスのMAVA財団が資金提供を通じて支援している。

公開にあたって、900以上の原材料を一次原材料・二次原材料別に分類。一次原材料とは、原料と生物由来製品を指す。生物由来製品には、食品・飼料・建設・バイオエネルギーの生産に用いられる海洋や陸由来の再生可能資源が含まれる。二次原材料は、再生可能資源と非再生可能資源双方から得られるもので、廃棄物・スクラップ・残さ・二次資源・中古品を含む。

同ツールは、リニア型経済から循環型経済への移行に関連する政策や貿易力学の開発を可能にする。また、循環型経済への移行における機会とトレードオフの分析も提供。さらに、南米・アフリカ・南アジアの循環型経済関連政策と専門家による出版物データも可視化している。

同ツール開発の背景には、循環型経済に関わる貿易の役割が、現在のところ十分に理解されていないことが挙げられる。多くの国が循環型経済戦略を推進しているが、戦略と政策は世界的なサプライチェーンと世界経済の文脈で存在する。循環型経済を後押しする貿易政策を立案・推進するには、廃棄物貿易や二次資源貿易を理解する必要がある。貿易規制が世界的なバリューチェーンにどのようなインパクトをもたらすかといったことや、循環型経済におけるサービスへの移行がどのように貿易パターンに影響を与えるかについて注視することが重要だ。例えば、都市鉱山から二次資源を採取することが経済的にも技術的にも可能になるので、一次資源採掘と輸出に依存する低中所得国に何らかの影響を与えるといったことが考えられる。

チャタムハウスは、今後データの取得性を改善し、ユーザーからフィードバックを受けて同ツールを進化させていきたい考えだ。

【参照】circulareconomy.earth
【参照】circulareconomy.earthについて
【参照サイト】Building Transformative Alliances for an Inclusive Global Circular Economy