メタウォーター株式会社・株式会社テツゲン・株式会社プラントフォームはこのほど、アクアポニックス事業を実施する合弁会社の株式会社テツゲンメタウォーターアクアアグリ(以下、テツゲンメタウォーターアクアアグリ)を設立し、岩手県大船渡市で事業を開始した。

養殖する魚の排泄物を肥料にして植物を育てるアクアポニックスは、農薬や化学肥料を使わず水も捨てないため、最小限の環境負荷での養殖と農業を可能にする循環型の有機農業法だとされている。土づくり・水やり・水替えが不要なため、生産性が高いことも特徴の一つである。

テツゲンメタウォーターアクアアグリは、11月に大船渡市大船渡浄化センターの隣接地で事業を開始した。アクアポニックスによるチョウザメの養殖と無農薬・無化学肥料の野菜の水耕栽培を実施し、2022年10月から順次生産物を販売する予定だ。同プラントは2,000平方メートル以上で、完成すると国内最大のアクアポニックスプラントとなるとしている。

近年の下水処理場の状況について、メタウォーター株式会社は以下を明らかにした。

  • 人口減少に伴う統廃合や技術革新による処理の効率化などにより、未利用となっている土地が多く存在する
  • 国土交通省が推進する「下水道リノベーション計画」において、下水処理場を下水熱や再生水などを活用し農業生産拠点化することが推奨施策の一つとして掲げられている

大船渡市は下水道施設の土地の利活用を検討するなかで、アクアポニックス事業を下水処理場の未利用地の有効利用・余剰エネルギーの利活用・雇用創出・地域産業との連携・就農者の育成など、地域連携に資する取り組みと捉えたとしている。同市は、テツゲンメタウォーターアクアアグリと事業用定期借地権設定契約を締結し、同事業の事業用地を提供した。

メタウォーター株式会社は同事業を通じて、上下水道分野の公民連携事業における上下水道施設の未利用地の有効利用を含めた新たな付加価値の提案につなげていく意向だ。

アクアポニックスは、農林水産省が食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立実現を目指して2021年5月に策定した「みどりの食料システム戦略」への目標実現に貢献できる可能性があるとされている。同戦略は「化学農薬使用量の削減」「有機農業の拡大」「漁獲量の増加」「労働生産性の向上」などを目標として掲げている。さまざまな効果が見込まれる同事業の展開に注目したい。

【プレスリリース】
大船渡市で国内最大のアクアポニックスプラントの建設を発表(株式会社プラントフォーム)
岩手県大船渡市で魚と植物を同時に育てる循環型農業「アクアポニックス」事業を開始(メタウォーター株式会社)
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*冒頭の画像の出典:メタウォーター株式会社