フランスの公益事業会社SUEZと産業バイオテクノロジー会社のFermentalgはこのほど、2021年前半に合弁会社を設立することを発表した。同合弁会社は、バイオ製品中のCO2を回収して価値を高めるソリューションの工業化と商業化を加速することを目的とする。

両社は、パリ協定の一環として2015年にパートナーシップを締結しており、今回、気候変動への対策をさらに強化するために、合弁会社設立の合意に至った。同合弁会社は、生物模倣によってCO2を回収する藻類フォトバイオリアクターを開発する。今回のイノベーションによって、特に生物的防除と栄養、および動物の健康の分野で使用できる製品を製造することで、循環ループの開発が可能になる。

これまでの5年間にわたるパートナーシップにより、両社は環境問題に関する以下のようなソリューションを開発してきた。

  • 新世代の藻類フォトバイオリアクターを使用して、CO2を回収・処理する炭素吸収源
  • 大気汚染が公衆衛生に及ぼす影響に対処するべく、微粒子(PM10、PM2.5)や窒素酸化物(NOx)を減らすために設計された藻類フォトバイオリアクターなどの革新的ソリューションを持つ空気清浄機

同合弁会社が開発する新しい藻類フォトバイオリアクターは、産業と都市の両方の環境において過去5年間に展開されてきた上記技術に基づいて構築される。同ソリューションは、微細藻類の選択と光に関する新技術、およびモデルの環境的・経済的利点を立証する高付加価値バイオ製品を改善する。用途によって、これらのバイオ製品は土壌と生物多様性の保全だけでなく、人間と動物の健康にも貢献する。

Fermentalgの最高経営責任者(CEO)であるPhilippe Lavielle氏は、「この新しい成長分野をSUEZグループと開発していくことで、当社の環境と社会への取り組みを再確認します。テクノロジーに関する独自のグローバルな知見を活用して持続可能な開発に貢献し、合弁会社は大気の質と気候変動への取り組みにおいて大きな役割を担います。初年度には、ソリューションの海外展開を加速するために、他の金融パートナーと資本提携する予定です」と述べている。

SUEZのスマート&環境ソリューション・グローバルビジネスユニットの副部長で、戦略責任者であるDiane Galbe氏は、「Fermentalgとの合弁事業は、バイオ製品中のCO2回収のためのソリューションを提供することから、当社の戦略に完全に一致しています。この新しい自然に基づくソリューションは、循環型経済の課題に全面的に対応し、気候・健康・生物多様性に好影響を与えます。パリ協定から5年後、当社は地球を守るという強固な取り組みを、持続可能な世界に向けた具体的な解決策に再変換します」と語っている。

【プレスリリース】Fight against climat change: Fermentalg and SUEZ create a joint venture to accelerate the industrialization and commercialization of solutions for capturing and valorizing CO2 in bioproducts