英国政府は3月10日、冷蔵庫や洗濯機などの電化製品に対し、電力消費における新基準を今夏に導入し、製造者に対する規制の強化を行う方針を公表した。

新規制により、消費者は、修理や部品の交換によって長期間使用できる電化製品の購入が可能となる。同国政府によると、これまで製造者は販促を目的として意図的に製品を短寿命化させてきた。消費者は買い替えを余儀なくされていたが、状況を改善する。

英国で初めて消費者へ「修理する権利」が法的に与えられ、製造者は製品の修理ができるように部品を製造することが義務付けられる。この措置により、製品の寿命は10年まで延長されると見込まれている。結果として、まだ使えるはずの電化製品が廃棄されることを防ぎ、同時に二酸化炭素排出の削減にも貢献することになる。英国では年間およそ150万トンの電化製品が廃棄物となっている。

加えて、電化製品に対するエネルギー効率基準も大幅に引き上げられる。そのため消費者は、平均して年間75ポンド(約11,400円)の電力節約が可能となると見られている。

この新規制に先駆けて、3月1日から新しいエネルギー効率ラベルが導入された。現行のラベル表示では、ほとんどの電化製品はA+ 、A++、 A+++の3つのカテゴリーで分類されているが、新基準ではAからGで表示される。分類基準が増やされたことで、現行のAに分類される電化製品の数は非常に少なくなる。

この基準変更により、エネルギー効率におけるより正確な情報が提供されることになる。製造者に対するさらなる改善へのインセンティブにもなり、消費者に対しては、よりエネルギー効率の高い製品を購入することを促す狙いもある。

英国はEUから離脱を完了したため、これまでのEU法体系の下で行われていたラベル表示のEUの旗が、英国旗に置き換えられている。

今回の新措置に関し、気候変動大臣Callanan卿は次のように述べている。

「我々は、気候変動における貢献において、それぞれの役割を担うべきだ。例えば、電化製品を購入する際もその貢献が可能である。今週導入された新たなエネルギー表示により、消費者は、スマートテレビや食洗機が果たしてどの程度環境に優しいのか、十分な情報を得た上で購入を決めることができる。同時にカーボンフットプリントの削減にも貢献できる」

この新措置は、「産業および家電の電力消費製品にかかるエコデザイン・エネルギーラベル規則(Ecodesign and Energy Labelling Regulations for a range of industrial and domestic energy-related products)」として公表され、現在その作業の詰めが行われている。草案に対する「公開フィードバック」が昨年の11月まで行われ、今月10日にはその結果報告書が発行された。また、照明器具に関するエコラベル規制のフィードバックは今年1月末まで行われており、政府は現在その内容を分析中。新措置の施行は夏を予定している。

【参照記事】Electrical appliances to be cheaper to run and last longer with new standards
【参考】Draft Ecodesign and Energy Labelling Regulations 2021