EUと中国は6月23日、ブリュッセルで第11回EU・中国環境政策対話を開催し、生物多様性保全、プラスチック汚染対策、化学物質規制など地球規模の環境課題における協力を改めて確認した。会合は欧州委員会の循環経済担当委員ジェシカ・ロスウォール氏と、中国の生態環境相・黄潤秋氏が共同議長を務めた。
同対話は2003年から閣僚レベルで継続的に開催されており、前回の第10回対話は2025年6月にブリュッセルで実施された。今回は、10月にアルメニア・エレバンで開催される生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)や、停滞していたグローバルプラスチック条約の交渉再開など、今年後半に控える重要な国際会議を前に、両者の立場をすり合わせる狙いがあった。
ロスウォール委員は会合後、「現在の地政学的状況において、実効性のある外交はこれまで以上に重要になっている。EUと中国は、プラスチック汚染を終わらせるグローバル条約の交渉を妥結させ、生物多様性に関する共通の公約を実行し、環境分野の多国間主義を強化するために協力を続けなければならない」と述べた。
生物多様性分野では、2022年のCOP15で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)の実施状況とCOP17に向けた準備が主な議題となった。
COP17ではGBFの実施状況に関する初めての世界的な進捗レビューが行われる予定で、2030年までの目標達成に向けて実施を加速すべき分野についても意見交換が行われた。
資金面では、EU側が2025年に採択した「ネイチャークレジット・ロードマップ」を紹介し、生物多様性保全・再生に向けた民間投資の呼び込み方について議論した。欧州委員会は5月にブリュッセルで開催した会合で、生物多様性保全に必要な資金と実際の公的資金との間に年間370億ユーロの差があると指摘しており、ネイチャークレジットのような手法は、この資金ギャップを埋める公的資金の補完策として位置づけられている。デジタル配列情報(DSI、遺伝資源の配列データ)の商業利用から生じる利益を資源国や地域社会に還元する新たな仕組み「カリ基金」の役割についても、生物多様性資金をめぐる議論の一環として言及された。
プラスチック汚染に関しては、両者はプラスチックのライフサイクル全体を対象とする、法的拘束力のある国際文書の交渉を前進させる方針を改めて確認した。プラスチック汚染は増加の一途をたどっており、一国のみでは対処できない緊急課題であるとの認識で一致したという。
グローバルプラスチック条約をめぐる政府間交渉委員会は、2025年8月のジュネーブ会合で条約案の合意に至らず決裂し、議長も辞任した。2026年2月の会合では新議長の選出にとどまり、実質交渉は再開していない。新議長は3月、年内に非公式協議を重ね、2026年末から2027年初めにかけて本会合を再開する方針のロードマップを示しており、今回のEU・中国対話はこうした交渉停滞の局面を踏まえたものとみられる。
化学物質分野では、有機フッ素化合物(PFAS)や残留性有機汚染物質など、有害性の高い物質の規制・管理についても意見交換が行われた。多国間の環境ガバナンスについては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や、生物多様性・生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)、資源に関する国際資源パネルなど、科学的知見に基づく政策決定を支える枠組みの役割が確認された。
両者は今後、2026年中に第7回EU・中国ハイレベル環境・気候対話を開催する方針も確認した。この対話は欧州委員会のテレサ・リベラ上級副委員長と中国の丁薛祥副首相が共同議長を務める見通しである。
【参照記事】EU & China step up dialogue on biodiversity protection and finance, plastic pollution and global environmental governance
【参照記事】Green Transition
【参照記事】CBD COP17: Addressing the biodiversity financing gap
【参照記事】Publication of the first guide to the Cali Fund
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【参照記事】Intergovernmental Negotiating Committee on Plastic Pollution
【参照記事】INC-5.3: Where the global plastics treaty talks stand, and why this meeting matters
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