仏パリの裁判所は6月23日、ダノン傘下のミネラルウォーターブランド「ボルヴィック」に対し、ペットボトルに表示していた「カーボンニュートラル」「100%リサイクル可能」「100%リサイクル素材」などの訴求がフランスの消費者を誤認させるものだったとして、同社に違法判決を下した。これは、フランスの消費者団体CLCVが起こした訴訟の結果であり、欧州消費者団体連合(BEUC)も6月29日付のプレスリリースでこの判決を報じている。
CLCVは、2023年11月にコカ・コーラ、ダノン、ネスレウォーターズ(ネスレ)などの主要飲料メーカーによるミネラルウォーターボトルのリサイクル表示について、EU当局に苦情を申し立てたBEUC加盟13カ国15団体のひとつである。
裁判所は、「100%リサイクル素材」および「100%リサイクル可能」という表示が消費者に誤解を与えると認めた。ボトルのラベルに使われるインクや接着剤はリサイクルできないため、「100%リサイクル素材」という表示自体が事実に反するとされた。また、廃棄されたペットボトルが実際にすべてリサイクルされる保証はなく、この点も製品の環境影響について消費者の理解を損なうと指摘した。
裁判所は、これらの主張が消費者の誤解を招く商業的慣行に相当すると判断した。判決によりボルヴィックはCLCVに対して75,000ユーロの損害賠償および1万ユーロの訴訟費用を支払うこと、また自社の公式ウェブサイトのホームページにこの判決内容を6ヶ月間にわたって掲載することを命じられた。
法律団体ClientEarthと環境NGOのECOSの技術協力を得てBEUCがまとめた報告書「Unbottling Greenwashing」は、こうした表示がEUの不公正な商慣行に関する指令(UCPD、指令2005/29/EC)に抵触すると分析している。報告書は、飲料ボトルがボトル本体(PET製)、キャップ、ラベル、接着剤、インクという複数の部材で構成されている点を問題視している。また、EUの食品接触規則(規則2022/1616)では、食品接触用途に使用できるリサイクル素材の種類が厳しく制限されており、キャップに使われるポリプロピレン(PP)や高密度ポリエチレン(HDPE)については、この基準をクリアした再生技術が現時点で存在しないこと、大半のメーカーがラベルにリサイクル素材を一切使用していないと回答したことなどを指摘している。プラスチックは劣化するため、リサイクルを重ねるほどバージン素材の添加が必要になる点も指摘しており、「100%リサイクル」を掲げる製品の多くは、リサイクル回数がまだ少ないために達成できているに過ぎないと分析している。
裁判所は、BEUCの苦情で問題視されていた緑色を基調としたパッケージデザインなどのイメージ表示については踏み込まなかったものの、カーボンニュートラルという表示についても消費者を誤認させるものだと判断した。二酸化炭素の排出量を相殺するための炭素吸収プロジェクトは効果の予測が困難で、信頼性に乏しいとされた。この判断は、BEUC加盟団体が航空会社の広告や食品表示で確認してきたカーボンニュートラル訴求の問題とも重なるものである。
今回の判決に先立ち、ネスレは2026年3月にこうした表示の使用を取りやめると発表しており、コカ・コーラも2025年に表示の一部見直しを約束していた。BEUCおよび加盟団体は、各国消費者保護当局のネットワークと欧州委員会に対し、各社が公約を実行しているかを監視するとともに、進行中の調査を速やかに終えるよう求めている。
現地報道によると、ダノンは審理において、問題となった表示は「当時適用されていた条文や慣習に沿っていた」と主張していたという。一方、ダノンはカーボンニュートラル表示について、2020年に第三者認証機関Carbon Trustから取得した認証に基づくものだったと説明しており、Carbon Trustが2023年9月にこの認証を打ち切ったことを受けて、カーボンニュートラルに関する取り組みの見直しと強化に着手しているとしている。
ボルヴィックは今回の判決を不服として控訴する方針を示している。
【参照記事】Major step against plastic bottle greenwashing as French court condemns Volvic
【参照記事】Unbottling greenwashing
【参照記事】Volvic condamnée pour “pratiques commerciales trompeuses” relevant du greenwashing
【参照記事】Greenwashing des bouteilles en plastique : une victoire en justice historique de la CLCV contre Volvic
【参照記事】Volvic condamnée pour « pratiques commerciales trompeuses »
【参照記事】Greenwashing : Volvic condamné pour pratiques commerciales trompeuses
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