スウェーデン・ストックホルムを拠点とするファッションブランドのAcne Studios(アクネ ストゥディオズ)は7月8日、製品のトレーサビリティソリューションを提供するイタリアのTemera社と連携し、デジタル製品パスポート(DPP)を導入したと発表した。この取り組みは一部の製品カテゴリですでに開始されており、2025年秋冬コレクションからは対象を全製品に拡大する。

DPPは、Temera社のトレーサビリティシステムを基盤とし、パートナー企業Blue Bite社が提供する顧客向けのインターフェースを通じて表示される。2025年秋冬コレクション以降の全製品には、ケアラベルやケアカードにQRコードが配置され、顧客はこれをスキャンすることで各製品のDPPにアクセスできる。

DPPには、原材料の詳細、サステナビリティに関する認証情報、サプライチェーンのトレーサビリティ、製品の手入れ方法などが含まれる。提供言語は英語、フランス語、日本語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)だ。さらに包装材や社会的責任、B Corp認証に関する情報も記載される。

導入の背景には、ファッション業界における透明性向上の要請や法規制の強化がある。特に、フランスで施行されている「循環経済のための廃棄物対策法(AGEC法)」や、EU全域で義務化が見込まれるDPP規制への対応が目的だ。EUが推進するDPPは、製品のライフサイクル全体の情報を電子的に記録・追跡する仕組みで、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる重要な政策とされている。

Acne Studiosは、環境や社会への配慮、透明性などに関する厳しい基準を満たした企業にあたえられる国際認証「B Corp認証」も取得している。今回のDPP導入は、その認証企業としての責任を具体化し、製品ライフサイクルに対する透明性を一段と高める取り組みとなる。

Temera社の共同創設者でマネージングディレクターのフランチェスコ・ピエリ氏は、「Acne Studiosのように野心的でサステナビリティを重視するブランドと協業できることを、大変うれしく思う。彼らは早い段階から、規制に先んじて対応する重要性や、DPPによって顧客との信頼を強化できる可能性を高く評価していた。このパートナーシップが今後さらに革新的なソリューションへ発展していくことを楽しみにしている」と述べた。

【プレスリリース】Temera’s End-to-End Traceability Solution Enables Acne Studios to Launch Sustainability Focused DPP
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