花王株式会社と株式会社コーセーは9月25日、イオンリテール株式会社と協働し、2025年10月1日より「化粧品プラスチック容器の水平リサイクル」の取り組みを本格的に開始すると発表した。この取り組みは、東京都、千葉県、埼玉県の「イオン」「イオンスタイル」約70店舗で、使用済み化粧品プラスチック容器の回収ボックスを設置し、回収された容器から再生素材を生成、再び化粧品容器の一部に採用するものだ。

この協働は、花王とコーセーが2021年10月から化粧品事業のサステナビリティ領域で進めてきた包括的な取り組みを拡大し、社会実装を本格化させるものだ。両社はこれまで、株式会社JEPLANが使用済みペットボトルから製造したケミカルリサイクルPET素材の採用や、製品化に至らなかったメイク商品を絵具や水性ボールペンへアップサイクルする活動などを実施してきた。

花王は2022年2月から7月にかけて、イオンリテールと協働し、関東エリアの「イオン」「イオンスタイル」約40店舗で化粧品プラスチック容器の回収を実施。回収した容器を水平リサイクルするスキーム構築を検討し、2024年5月には、ケミカルリサイクル技術を用いて製造した再生素材をスキンケアブランド「TWANY(トワニー)」の化粧水つけかえ容器の一部に採用し、数量限定で商品化に成功した。

しかし、使用済み化粧品プラスチック容器の回収スキームや規模の拡大、生産性やコスト効率の向上、そして生活者におけるリサイクル習慣の浸透不足といった課題が化粧品業界全体に存在していた。今回の3社協働は、これらの課題解決を目指し、回収エリアと対象メーカーを拡大することで、回収量の大幅な増加と再生素材を採用した商品ラインアップの拡充を期待している。

ケミカルリサイクルとは、使用済みの資源を化学分解によってPET樹脂の原料に変換し、再利用する技術だ。この方法は、リサイクル対象物の異物や汚れの除去に優れている。

今後は、今回の取り組みを持続可能な社会実装モデルとして、各社が水平リサイクルを一層推進する。また、回収エリアも順次拡大を目指し、将来的にはより多くの化粧品メーカーとの連携へと発展させ、環境に配慮した持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。

【プレスリリース】花王・コーセー・イオンリテールと3社で協働 「化粧品プラスチック容器の水平リサイクル」本格実装開始
【関連記事】和歌山県とENEOS、花王、サントリーが協定。地域資源循環モデルの創出を目指す
【関連記事】花王とライオン、使用済み容器を水平リサイクルしたつめかえパックを製品化。再生材を一部使用