京都駅から電車で20分、大阪市内から約1時間。都市部からそう遠くない場所でありながら、のどかな田園風景を望む京都府亀岡市。そこを流れる保津川での舟下りは、亀岡の名物として名高く、四季を通じた美しい景観は、世界中の人々を魅了してきた。
そんな昔ながらの風情を残し「丹波の小京都」として親しまれてきた亀岡は、今、日本における環境先進都市として知られる。一躍その名を広めることとなった全国初の「プラスチック製レジ袋の提供禁止条例」など、官民一体で、プラスチックごみゼロのまちを目指す。IDEAS FOR GOODは、ごみの学校と共同でそんな亀岡市を舞台に2024年11月、「循環経済の体験と実践」を軸としたまちづくりを体験する旅を開催する。
2012年に内陸部の自治体として初となる海ごみサミット「第10回海ごみサミット2012亀岡保津川会議」の開催をきっかけに、亀岡市は保津川や海のごみ問題に向き合い、ごみ問題に対する取り組みが加速した。そして2018年には「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を発信し、2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロを目指すという目標を掲げた。続く2019年に、環境問題について考え行動する機会が増えることを願って実施された「KAMEOKA FLY BAG Project」を開催。そして2020年の3月議会において「亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例案」が可決され成立。2021年1月からは日本初の「亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例」の施行と、亀岡では全国に先駆けた取り組みが推進されてきた。
さらに、古くから「京の台所」として知られ、京野菜の主要産地であるこのまちでは、2023年に「オーガニックビレッジ」が宣言された。次世代の子どもたちに豊かな自然と食、農を引き継ぐため、有機農家の支援や学校給食への有機農産物の導入などが行われている。
日本の伝統文化やモノづくりの考え方を大切にしながらも、最新の技術を活用した資源循環の取り組みを行う亀岡。行政や民間、移住者など、地域全体が一体となり、「世界に誇れる環境先進都市」を目指してきたこの場所で、市の政策から市内事業者の新規事業、伝統的な技術に根付く「もったいない」の考え方に触れながら、循環経済構築のヒントを探していく。
今回のスタディーツアーの案内人
寺井 正幸(ごみの学校・運営代表)
京都府亀岡市で3歳から18歳まで育ち、大阪での産業廃棄物処理会社で営業、経営企画として静脈産業に携わる。その後、ビジネスマン・主婦・子供までみんながごみのことを正しく知れる場を提供したいと考え「株式会社ごみの学校」を立ち上げ、facebookグループ「ごみの学校」でも2700名超えのコミュニティを運営している。
2024年にUターンで地元亀岡市に住所を移し、ごみの学校としても亀岡市とパートナーシップ協定を締結するなど、循環を通じて市を良くするための企画を推進している。
東野 陽介(ごみの学校 副代表)
1992年大阪狭山市在住 2016年関西学院大学総合政策学部卒業後、株式会社浜田に入社。廃棄物処理会社で現場・営業・バックオフィス・経営企画を経験。廃棄物処理業界での経験を活かし、ごみの学校では、ワークショップやイベント等の担当として循環型社会実装に向けて多様な企業、自治体と連携を行う。
循環したまちで体験と実践ができる旅
Circular Kameoka Lab
亀岡市や市内事業者の取組を発信するための拠点として、2024年8月にオープンした「Circular Kameoka Lab」。ここでは、全国的に例を見ない「レジ袋提供禁止条例」を初めとして、環境に係る多くの取り組みを推進してきた「亀岡市環境先進都市推進部」の担当者から、政策の裏側や、実行に向けた現場でのリアルな体験談を伺う。
エコトピア亀岡
亀岡市内の廃棄物が集約、処理される「エコトピア亀岡」には、亀岡市唯一の埋立処理施設があり、資源ごみや粗大ごみなどを分別して再資源化する取り組みが行われている。スタッフの手による分別作業によって、埋め立てごみの量は大幅に削減され、地域全体の資源循環を促進するための大きな役割を担っている場所だ。
ここでは、埋め立て処理施設や粗大ごみ処理施設の中に入り、廃棄されたごみを間近で見て、資源化できるごみとできないごみの違いについて考えていく。
案内人:亀岡市環境先進都市推進部 部長 山内 剛氏
1991年に亀岡市役所に入庁。全国初のプラスチック製レジ袋の提供禁止条例の制定に尽力すとともにパラシュート生地を再利用して新たな価値を生み出す「FLYBAG Project」やアップサイクルブランドHOZUBAGの企画に携わる。現在は新たな施策「リバーフレンドリープロジェクト」「亀岡のおいしい水スポット」づくりなど、ペットボトルをはじめ、使い捨てプラスチックごみゼロを目指す市の環境政策を担う。
南丹清掃
南丹清掃株式会社は、1966年創業以来、亀岡市を中心に一般廃棄物の回収や資源リサイクルを行ってきた。使用済み紙おむつのリサイクル事業に注力しており、大阪の株式会社浜田と共同で、紙おむつを再生プラスチックやパルプにリサイクルする実証実験を開始。亀岡市内のプラスチックごみの選別作業や地域住民の環境教育にも貢献し、持続可能な社会の実現を目指している。
ここでは、プラごみ回収・選別や、紙おむつ処理事業を立ち上げを行ったチームに、リサイクルの現場のリアルな状況、最新の技術に関するお話を伺うほか、実際にプラごみ処理設備に乗り、プラごみの分別を体験する。
リサイクル会社が実際に行っている作業を自分たちの手で体験しながら、どのような異物が紛れているのか、ごみはどの程度洗って出されているかなどを考えていく。
案内人:南丹清掃株式会社
主に亀岡市内のインフラの清掃・管理、収集運搬を担当。自社で廃棄物処理施設を保有し、2022年には資源リサイクル施設を設立。2024年には浜田(大阪府高槻市)と合同で紙おむつリサイクル施設も設立。また、毎月2回、不法投棄対策としてボランティア清掃を実施。地域の方々にも、不法投棄の現状を知ってもらうため、地域を巻き込んだ清掃活動を推進。
HOZUBAG
使用済みパラグライダーをアップサイクルし、エコバッグを製造する亀岡市拠点のブランド「HOZUBAG」。地元の古民家をリノベーションして生産拠点「HOZUBAG.Mfg.」では、パラグライダーの特性を活かした一点物のバッグが製作されており、地域の雇用を創出しながら、亀岡市の知名度向上にも貢献している。
ここでは、実際に世界にひとつだけのオリジナルマイバッグづくりを行いながら、廃材を価値ある商品に生まれ変わらせるための考え方やデザインを学んでいく。
案内人:株式会社HOZUBAG 武田 幸子氏
京都府亀岡市生まれ。京都造形芸術大学空間演出デザイン学科ファッションデザインコース卒業。
卒業後、出版社のデザイン部に所属。退社後、社会福祉法人松花苑 みずのき美術館に勤める。2019年から今年3月まで京都府亀岡市で行われている「かめおか霧の芸術祭」の拠点であるKIRI CAFEの運営を担当。また2020年よりHOZUBAGの工場を担当している。
天然砥石館
京都府亀岡市の体験型博物館である「天然砥石館」。亀岡で産出される丹波青砥や合砥などの天然砥石が展示されており、訪問者は包丁研ぎや砥石の研ぎ比べ、ワークショップを通じて、日本の伝統的な砥石文化を体験できる。
ここでは、亀岡市に移住し、天然砥石館の館長に就任された田中さんに、自然と向き合い、限りある資源を大切に無駄にせず使い切る日本の伝統技術や文化についてお話いただく。また、実際に自分で刃物を研ぎ、道具を長く使うための技術を体験し、資源がない時代に、どのように人は社会・経済活動を成立させていたのか、昔の知恵や技術を学んでいく。
案内人:天然砥石館 館長 田中 亜紀氏
早稲田大学政治経済学部卒業。欧州の経営コンサルティングファームにて、日系製造業の海外展開・新規事業創出・ESG経営、及び、自治体や官公庁の地域創生・観光政策などを支援。国連UNHCR協会、マザーハウスで、日本と海外の技術・文化をつなぎ、資源を循環させる活動等に参画。2023年亀岡市に移住し、天然砥石館館長に就任。日本のものづくりの源流にある砥石・研ぎ文化を継承し、国内外に向けた発信及び文化観光の推進を担う。古民家を活かした日本のものづくり体験型宿泊施設「霧の工坊」も運営。
旅の行程概要
Day1
9:45 亀岡駅北口 集合
10:00-11:30 亀岡市の取組・政策について
11:30-12:30 昼食
13:00-14:00 エコトピア亀岡 見学
14:30‐16:00 南丹清掃エコフレンドリーパーク 見学
16:30-17:30 亀岡の歴史・文化(座学)
18:00 亀岡駅北口 解散
Day2
8:30 亀岡駅北口集合
8:30-9:00 保津川エコウォーキング(川ごみ拾い)
9:00-10::30 HOZUBAG(ワークショップ)
11:00-12:30 昼食
13:00‐15:00 天然砥石館(ワークショップ)
15:30‐17:00 振り返り・まとめ@CircularKameokaLab
17:30 亀岡駅北口 解散
宿泊場所について
本プランは研修のため、宿泊は含んでおりません。
宿泊場所についてはご自身で確保をお願いします。
なお、亀岡駅近辺でのおすすめ宿泊場所については以下をご参照ください。
■亀岡市観光協会(亀岡市宿泊場所)
https://www.kameoka.info/stay/
■亀岡市農林振興課(亀岡市農家民宿)
https://www.city.kameoka.kyoto.jp/soshiki/30/
こんな方におすすめ
- 地域における循環型の取り組みに興味がある方
- 地域で循環型の取り組みを実践したい方
- 日本の伝統を通して社会を捉えてみたい方
- サーキュラーエコノミーに興味がある人とつながりたい方
- 循環型のライフスタイルを実践したい方
- プラスチックごみ削減の取り組みを知りたい方
- その他、興味がある方であればどなたでも大歓迎
このツアーで学び・体験できること
- 環境先進都市という目標を掲げて行われてきた政策の裏側や、実行に向けた現場でのリアルな体験談
- 廃棄されたごみを実際に見て触れて、リサイクルの現場の現状を知る
- 廃材を価値ある商品に生まれ変わらせるための考え方やデザインを体験しながら学ぶ
- 自然と向き合い、技術を活かしてきた日本の伝統技術の考え方や歴史を知る
- ローカルの視点による、亀岡の魅力と歴史の再発見
旅の概要
日程 | 2024年11月21日(木)〜22日(金)(1泊2日) ※1日のみの参加も可能です |
場所 | 京都府亀岡市 |
ツアー代金 | 一般:¥44,000(税込) Circular Economy Hubコミュニティ会員:¥35,200(税込) (Slackにて配信するクーポンコードをPeatix申込画面にてご入力ください) |
ツアー代金に含まれるもの | 現地ガイド費用、現地運送機関料金、各種体験費用・昼食代(1日目昼・2日目昼) |
ツアー代金に含まれないもの | その他上記項目以外の全ての費用(現地までの交通費、上記以外の食事費用、宿泊費用、飲み物に関する費用) |
キャンセル料金 | お申し込み後、お客様の都合でキャンセルされる際は次の金額をキャンセル料として申し受けます ・旅行開始日の3日前まで:代金の20% ・旅行開始日の2日前~当日:代金の50% ・旅行開始後または無連絡不参加:代金の100% |
定員 | 15名(最小催行人数7名)*申し込み順の受付、確定となります |
持ち物 | ・汚れてもよい服装(リサイクル施設などへ入りますので、汚れる可能性がございます) ・防寒具、雨具 |
お申込先 | https://20241121circularkameoka.peatix.com |
申込期間 | 2024年11月14日(木)まで *定員に達し次第、早期に募集を締め切る場合がありますので、ご了承ください |
主催 | ごみの学校・ハーチ株式会社 |
プログラム内容に関するお問い合わせ先 | メールアドレス:m.terai@gominogakko.com(ごみの学校・寺井) |
お申し込み先
【お申込みURL】https://20241121circularkameoka.peatix.com
【お申込み期日】11月1日(金)まで
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」からの転載記事です。