カーボンニュートラルなサーキュラーエコノミーへと世界規模で移行することは、すべての企業にとって、新しいビジネスを開発し、新しい市場に進出し、持続可能な成長を実現する機会となる。企業が抱えるこれらのタスクを支援することを目的とし、フィンランドのイノベーション基金Sitraとデロイトが戦略本を公開した。
サーキュラーエコノミーとは、生物多様性の損失、気候危機、天然資源の枯渇などの根本原因に対処する経済モデルである。より多くの製品を生産することなく、今あるものから最大限の価値を引き出し、よりスマートなデザイン、デジタルソリューション、製品の所有からサービスの利用への移行などを通じて、その価値をできるだけ長く経済価値の高い状態に留めることを可能にする。サーキュラーエコノミーに移行することのメリットは明らかである一方で、新しいビジネスモデルへの移行には常に課題が伴う。
Sitraは、同戦略本は、ビジネスが循環型に移行するための洞察・事例・実践的なツールを提供する実践的なガイドであると説明している。競合他社との差別化を図り、顧客やその他のステークホルダーのニーズにより適切に対応し、より少ない資源でより大きな価値を生み出したいと考えている企業にとって、ここで紹介する5つの循環型ビジネスモデルは、それらを実現する助けとなる。
本記事では、同書の中から、循環型ビジネスモデルの5分類、それらが及ぼす影響、ビジネスモデル構築の始め方、各ビジネスモデルが持つ課題、循環型ビジネスへ移行するために必要な能力、移行プラン作成と実行のためのアプローチ法について抜粋して紹介する。
目次
循環型ビジネスモデルとは
第3章では、循環型ビジネスモデルを次の5つに分類し、それぞれの特性を紹介している。各ビジネスモデルは、ビジネス上のメリットと財務上の影響、および運用への影響と実装の容易さにおいて異なる特徴を持つ。
