エミレーツ航空は2025年4月7日、航空業界におけるサーキュラーエコノミーの実現を目指す「Aviation Circularity Consortium(ACC)」に、アルミニウム合金専門商社のSL Metals社と共に加盟したと発表した。この加盟は、2024年11月にACCが発表した「2050年産業ロードマップ」に続くもので、価値の高い資源循環を通じてサプライチェーンの脱炭素化を加速させるというコミットメントを強化するものだ。ACCは、航空業界におけるサーキュラーエコノミーの構築に取り組む組織のネットワークだ。

航空会社、製造業者、リサイクル業者などが連携し、使用済み航空機から価値ある素材を回収・再生する技術やビジネスモデルの開発に取り組んでいる。

エミレーツ航空は、持続可能性戦略の一環として、以前からリサイクルや循環型のソリューションを事業に組み込んできた。客室の内装材のアップサイクルや、機内サービスにおける廃棄物削減プログラムなどを通じて、環境負荷の低減に努めている。今回ACCに加盟することで、航空業界全体の循環型イノベーションの推進に貢献する。

同時に加盟したSL Metals社は、シンガポールを拠点にアジア太平洋および中東地域で事業を展開するアルミニウム合金の専門商社だ。国際アルミニウム協会によると、アルミニウム生産は世界の産業分野におけるCO2排出量の約3%を占めており、航空機に不可欠なこの素材の責任ある調達と効率的な利用は、業界全体の脱炭素化において重要な課題となっている。SL Metals社の参加は、特にアルミニウムの循環利用に関するコンソーシアムの取り組みを強化するものだ。

エミレーツ航空がACCに加盟する航空会社として2社目となることは、航空業界において、脱炭素化の実現にサーキュラーエコノミーが不可欠であるとの認識が広まっていることを示している。

エミレーツ・グループのエンジニアリング・MRO部門責任者であるアーメッド・サファ氏は、「航空業界は、航空機の生産から退役までのライフサイクル全体における材料の利用方法を再考しなければなりません。退役する航空機の数が増え続けるなか、持続可能な最終処分ソリューションの必要性はこれまで以上に高まっています。ACCに加盟することで、私たちは廃棄物を削減し、効率性を高め、航空業界のサーキュラーエコノミーへの移行を加速させる持続可能なイニシアチブで協業することが可能になります」と述べた。

SL Metals社の最高経営責任者兼エグゼクティブディレクターであるサム・タン・イー・レオン氏は、「アルミニウムは他の多くの産業と同様に航空業界で重要な役割を担っており、責任ある調達と効率的な材料利用が不可欠です。また、アルミニウム生産は世界の産業CO2排出量の3%を占めており、サプライチェーン全体での持続可能な実践がますます重要になっています。ACCを通じて、私たちはアルミニウム利用におけるベストプラクティスを推進し、より強靭で持続可能な航空サプライチェーンを形成する取り組みを支援していきます」と語った。

【参照記事】Emirates joins Aviation Circularity Consortium
【参照情報】The Aviation Circularity Consortium (ACC)
【参照情報】IEA Aluminium
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