資源循環インフラの構築を手がける株式会社ECOMMITは1月20日、日本で初めてとなる「CCO(Chief Circularity Officer/最高循環責任者)」のポストを新設し、上席執行役員の坂野晶氏が就任したと発表した。サーキュラーエコノミーを経営の中核に据え、「捨てない社会」を理念ではなく実装をより一層進めていく方針だ。
CCOは、製品設計から回収、選別、再流通、データ活用までを含む循環型ビジネスモデル全体を横断的に統括する役職で、欧米では製造業や資源関連企業を中心に導入が進みつつある。従来のCSO(Chief Sustainability Officer)が財務・非財務の両面から企業の持続的な価値創造ストーリーを統合・指揮する幅広い役割であるのに対し、CCOは循環性を事業設計や価値創出の中核に組み込み、ビジネスそのものを循環型にしていく点に特徴がある。
サーキュラーエコノミーの実装には、単一の企業や部門にとどまらず、業界横断での連携や、行政を含むパブリックセクター、市民・コミュニティとの協働が不可欠とされる。ECOMMITによると、こうした複雑なステークホルダー環境の中で循環型モデルを成立させるには、経営レベルでの統合的な意思決定と推進体制が求められるという。

今回CCOに就任した坂野氏は、徳島県上勝町のゼロ・ウェイスト政策に携わったNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの元理事長で、官民・市民セクターを横断しながら循環型社会づくりに関わってきた人物だ。2019年には世界経済フォーラム(WEF)年次総会の共同議長を務め、2025年には同フォーラムが選ぶ「Young Global Leaders」にも選出されている。こうした実践知を経営に組み込むため、ECOMMITは日本で初めてCCOという役職を新設した。
坂野氏は就任にあたり、「広義のサステナビリティではなく、あえて『サーキュラリティ(資源循環)』に特化した役職を置くことは、循環を経営の軸として確立するという強い意思の表れ」とコメントしている。今後は、パブリックアフェアーズの知見を生かし、領域を超えたパートナーシップを通じて循環型社会への移行を牽引していく考えだ。
近年は、海外を中心にCCOを単なる肩書きではなく、循環型ビジネスを実装するためのリーダー像として定義し、人材育成や組織変革と結びつける動きも広がりつつある。
ECOMMITは、全国に展開するサーキュラーセンターやトレーサビリティシステムを基盤に、衣類や不要品の回収・選別・再流通を高度化してきた。循環率やCO₂削減量を可視化することで、企業や自治体の循環・脱炭素施策を支援している。

加えて同社は、生活者が循環に参加しやすい仕組みとして、資源循環サービス「PASSTO(パスト)」を展開している。PASSTOは、不要になった衣類や日用品などを回収し、選別・再流通することで、「捨てる」のではなく「次につなぐ」循環の入口を担うサービスだ。近年は、自宅から無料で不要品を手放せる「宅配PASSTO」を提供し、LINE上で集荷依頼まで完結できる手軽さが特徴となっている。回収された不要品はリユースを前提に選別され、難しいものはリサイクルを通じて再生素材の原料として循環される。衣類におけるリユース・リサイクル率は約98%に達しているという。
2025年末には、循環アクションを可視化するリワード機能「MY PASSTO LOG」や、回収内容に応じてクーポンが付与されるキャンペーン機能を公式LINE上に追加するなど、生活者の行動変容をうながす仕組みづくりも進めている。PASSTOを通じて蓄積される回収・選別・再流通のデータは、企業や自治体における循環施策やCO₂削減の可視化にも活用されている。
こうした生活者起点の循環の仕組みと、回収・選別・再流通を支えるインフラ、さらにそれらを統合する経営体制をどう構築していくかが、今後の焦点となる。今回のCCO新設は、循環型経済を「環境配慮」や付加的な取り組みとしてではなく、事業の設計思想そのものとして組み込んでいくための体制づくりの一環といえる。
また同社は、経営メンバーが登壇するトークイベント「CHAOS LAB」シリーズの第1回を2月1日に開催予定だ。イベントでは、循環型社会のインフラ構築における意思決定や試行錯誤のプロセスを、経営の視点から共有する。CCO新設を契機に、ECOMMITは循環型経済を理念にとどめず、実装として社会に根づかせる取り組みをさらに進めていく構えだ。
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