環境省は、地域の脱炭素や循環経済への移行を支援する「地域トランジションモデル構築事業」の中間とりまとめを公表した。脱炭素や循環経済の進展に伴い、地域の産業構造や雇用に変化が生じる中、地域での産業や雇用への影響に配慮しながら移行を進めるための考え方や手順を整理した。

近年、脱炭素政策の進展により、火力発電所の廃止や製油所の転換など、地域の産業構造に影響を及ぼす動きが見られている。こうした変化は新たな成長につながる可能性がある一方で、雇用や既存産業への影響も懸念される。そのため、地域の実情を踏まえ、影響に配慮しながら移行を進めることの重要性が指摘されている。

今回のとりまとめでは、「地域トランジション」という考え方を示した。これは、脱炭素や循環経済への移行によって生じる変化に対応しながら、地域の成長につなげていくための進め方を整理したものだ。欧州を中心に議論が進む「公正な移行(雇用や地域への影響に配慮して進める考え方)」を、日本の地域特性に合わせて具体化する試みといえる。

事業では、山形県酒田市、和歌山県有田市、鹿児島県薩摩川内市の3地域をモデル地域として、構造変化を背景とした実証を実施している。各地域では、自治体を中心に企業や金融機関、地域住民などが参画し、産業構造の変化に対応した体制づくりや計画の策定に取り組んでいる。

たとえば薩摩川内市では、火力発電所跡地に「サーキュラーパーク九州(CPQ)」が設立され、2024年4月に操業開始した。市や観光物産協会と連携し、Xカーブを用いたシナリオ分析や観光ツアー造成を推進。CPQを筆頭に市内事業者を巻き込み、シビックプライドの具体化など移行に伴う課題整理を実施。

とりまとめでは、産業構造の変化に対応する地域の取り組みを進めるうえでのポイントとして、①初期段階における行政の主体的・能動的な関わり、②移行プロセスにおける多様な主体の参画と役割の変容、③急激な変化における公正性・包摂性への配慮、④地域の経済社会構造に係る現状把握とビジョンの検討・共有、⑤地域資本の統合的な活用と好循環の創出、の5点を整理した。

影響の分析や地域資源の把握・可視化、将来像の検討、計画の作成といった手順を段階的に進める必要があるとし、行政、企業、金融機関、地域住民など多様な主体が役割を分担しながら取り組むことが重要とされている。環境省は今後、モデル地域での実証結果を踏まえながら手法の具体化を進め、他地域への展開を図る方針だ。

【プレスリリース】地域循環共生圏のアプローチを通じた「地域トランジションモデル構築事業」中間とりまとめの公表について
【参照レポート】令和7年度 環境省 地域循環共生圏創造事業 地域トランジションモデル構築事業 中間とりまとめ
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