ユニ・チャーム株式会社は10月1日、使用済み紙おむつのリサイクルを推進する実証事業を東京都で開始することを発表した。
同社は、東京都が公募する「使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業」における、「効率的な収集・運搬手法」モデルの事業者に採用された。東京都の各自治体・企業・団体と協業し、「使用済み紙おむつのリサイクル」推進を通じて、持続可能な社会への貢献を目指し、地球環境保全と経済的成長を両立する事業活動に取り組んでいく。
同社は循環型社会を目指して、2015年から使用済み紙おむつを再資源化するプロジェクトを開始し、2016年12月からは鹿児島県志布志市や大崎町とともに実証実験を行ってきた。実証実験を通じて、パルプなどを衛生物品に利用可能なレベルまで再生する技術の確立と、洗浄・分離時に使用する処理水までを再利用する「総循環型モデル」を推進している。
こうした「総循環型モデル」の推進で欠かせないのが、使用済み紙おむつの分別方法や分別回収に行きつくまでの事業計画だ。そこで、同社は都内自治体と協力して、高齢者施設・保育園などで使用済み紙おむつの分別を行い、回収会社などとともに分別回収の実証実験を開始する。
実証事業のイメージは以下のとおりだ。
- 高齢者施設・保育園などで使用済み紙おむつを分別
- 使用済みおむつを回収(使用済み紙おむつのみを分別回収)
- リサイクル処理場(仮想)に使用済み紙おむつを搬入(使用済み紙おむつのみの搬入)
使用済み紙おむつの再資源化プロジェクトを推進する背景には、高齢化にともなう紙おむつの使用量増加がある。さらに、使用後の紙おむつは水分を吸うため体積が大きくなり、廃棄処理に大きな負担となっている。環境省の調査によると、2015年度の一般廃棄物に占める紙おむつの割合は4.3~4.8%、年間で約191~210万トンであった。2030年度には、一般廃棄物に占める紙おむつの割合は6.6~7.1%、年間で約241~261万トンに増加することが予測されている。
同社はこの実証事業を通じて、使用済み紙おむつリサイクル事業を国内及び海外で展開できる循環型モデルの構築を行い、新たな課題を明確にして、対策を行っていく構えだ。また、この実証事業はSDGsの17の目標のうち、下記の7つに貢献すると同社は考える。
- 目標3:すべての人に健康と福祉を
- 目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 目標8:働きがいも経済成長も
- 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
- 目標12:つくる責任 つかう責任
- 目標15:陸の豊かさも守ろう
- 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
紙おむつ生産数量についても、乳幼児用で約143億枚(2019年)と高止まりし、大人用は87億枚(2019年)と年々増加傾向にある(一般社団法人日本衛生材料工業連合会統計データより)。同社の紙おむつのリサイクル商業化に向けた今後の展開が注目される。
【プレスリリース】ユニ・チャーム、使用済み紙おむつのリサイクル推進に向け、東京都における効率的な収集・運搬手法の実証事業を開始
【参考ページ】一般社団法人日本衛生材料工業連合会 乳幼児用紙おむつの統計データ
【参考ページ】一般社団法人日本衛生材料工業連合会 大人用紙おむつの統計データ